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Milos Muller / Shutterstock.com

2018年2月、米国の西海岸から東海岸まで約3800キロの道のりを、自動運転トラックが走破して話題となった──。そのトラックを生み出したスタートアップ企業が「Embark Trucks」だ。

Embarkの共同創業者でCEOのアレックス・ロドリゲスは現在23歳。カナダのアルバータ州出身の彼は、まだ中学生だった2009年にMuffinという名のロボットを製作し、ロボットコンテストで賞を受賞した。Muffinがこなすタスクは、カナダの国民的スポーツであるアイスホッケーのパック(硬質ゴム製の円盤)を片づけるというものだった。

ロボット界の神童と呼ばれるロドリゲスが創業したEmbarkは現在、サンフランシスコに本拠を構え、独自の自動運転ソフトを搭載した18台のトラックを運行している。Embarkの特徴はハイウェーを走行するトラックの自動運転に特化している点だ。

「他の自動運転テクノロジーを手がける企業と比較すると、ハイウェーに特化することで、システムをシンプルにできる。ラストワンマイルの運転を人間のドライバーに任せることで、安全性の問題も克服できる」とロドリゲスは話す。

Embarkは累計4700万ドル(約53億円)の資金をセコイアキャピタルなどから調達している。ロドリゲスは同社のCTOを務める、同じく23歳のブランドン・モックと共に、フォーブスの「30アンダー30」に選出された。

アルファベット傘下のウェイモや、GMのクルーズが混雑した都市部にロボットタクシーを導入しようとしているのとは対照的に、Embarkの車両はハイウェーの走行に特化している。都市部とは違い、ハイウェー上では歩行者やバイクのような障害物に遭遇する可能性は低い。

米国の好景気とEコマースブームは、米国のトラック輸送業界の年間売上を7000億ドル(約80兆円)規模にまで押し上げた。一方で、長距離トラック業界は人手不足にあえいでおり、2017年だけで5万名のドライバーが不足していたという。

ロドリゲスはカナダのテック系大学として有名なウォータールー大学に進み、そこで知り合ったのが現CTOのモックだった。20歳で二人はシリコンバレーに旅に出て、クルーズオートメーションの創業者であるKyle Vogtと出会った。Vogtもロドリゲスらと同じ、ロボット界の天才としてのキャリアを積み重ねてきた人物だ。

大学を中退し独自のスタートアップを起業

しかし、Vogtからの「クルーズオートメーションに入らないか」という誘いをロドリゲスたちは断った。

「彼から、スタートアップの仕事がいかに魅力的かを聞かされ、大学を辞めてクルーズで働くように説得された」とロドリゲスは語る。「でも、Vogtからの2つの提案のうちの1つを、僕らは実行に移したんだ」

ウォータールー大学の卒業を目前にひかえた二人は、大学を中退し、彼らのスタートアップであるEmbarkを創業した。

Embarkは現在、18台の自動運転トラックをフェニックスとロサンゼルス間で走らせている。売上はまだ少ない額ではあるが、顧客には大手家電メーカーのエレクトロラックス(Electrolux)らもいる。

ロドリゲスは米国西海岸と東海岸をつなぐサービスを早期に立ち上げようとしている。また、独自の自動運転テクノロジーを搭載したトラックを100台規模にまで増加させる計画だ。次回の資金調達ラウンドに向けた戦略も練っている。

Embarkが掲げる究極のゴールは、自社で大量の車両を生み出すことではなく、トラック輸送業界にテクノロジーをライセンス提供することだとロドリゲスは話した。

「トラック輸送は米国経済の中心を担っている。トラックで運ばれる物資は、この国の製品の7割を超えている」と彼は続けた。「トラック輸送分野を進歩させることは、とても大きな意味を持つことだ」

編集=上田裕資

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