──マネジメントにおいて会社の「成長痛」をどのように乗り越えてこられましたか?
創業当時のメンバーは能力が高いかというと、そうでもないことも多いです。会社が成長後に入ってきた人達の方が優秀なことはよくあります。そうすると、後から入社してきた人達と創業時のメンバーとの間に軋轢、嫉妬が生まれます。これには、擦りこみを続けるしかないと思っています。「優秀な人が入ってくるのは自分のためになるんだ」と理解してもらえるようにコミュニケーションを取り続けています。
優秀な人が入ってくれれば、その人から学べる。ちゃんと学習していけば、追いつけるかもしれません。対して、同じレベルの人が入ってきてその中で部長になれたとしても、世の中の基準に照らして会社のレベルが低ければ、誰からも注目されない企業になる。「そんな会社の部長をやっていて嬉しいのか」と投げかけるんです。
それよりも、優秀な人が入って会社が発展した方が会社も注目され、自分も成長できますよね。こうした話を伝え続け、徐々に受け入れてもらえるように気をつけています。
──セールスとエンジニアという文化の異なる組織をマネジメントする上では何がポイントとお考えでしょうか?
総合職とエンジニアが半々みたいな会社だと、エンジニア職とセールス職を分けて仕事をしていると言われますよね。しかし、我々のビジネスはマーケットインの考えが不可欠で、不動産の課題に対してどうテクノロジーを使っていくかという話です。ゆえに、エンジニア職とセールス職を分けることは得策ではないと考えています。実際に、セールスとエンジニアが、同じフロアで仕事をしています。しかし、以前は、専門性が違うということで、なかなかお互いにコミュニケーションを取ろうとしませんでした。
例えば、セールス側の人間に、「ちょっとこのプロダクトを使って意見を聞かせて」といっても、全然出てこないんです。しかし、それで諦めるわけにはいきません。諦めずに接点を作っていったら、セールスからも「これは使いやすいと思います」「こっちの方がいいです」といった意見がでるようになりました。
また、エンジニアは、ユーザー思考よりも自分の作りたいものを作る傾向があります。「ユーザーに聞きに行こう」といっても聞きにいかない。これについても諦めずに働きかけていたら、最近では、セールス側に「ユーザーの所に連れていってくれ」と言うようになってきました。
現在は、セールスとエンジニアが一緒に訪問して、ユーザーヒアリングを実施しています。
──文化や専門性が異なるセールスとエンジニアの壁を、対話量で崩していったんですね。
そうですね。おかげで、エンジニアなのに宅建に受かったメンバーが5人も出てきています。取得するようにとは言っていないのですが、コミュニケーションを大事にした結果、セールスやユーザーの意識に添えるように宅建を取ろうという思考になったのだと思います。