AI通信「こんなとこにも人工知能」

Alexander Limbach / shutterstock.com

MITコンピュータ科学・人工知能研究所が、映像データから学習する「AI手袋システム」を開発した。「STAG」(Scalable Tactile Glove)と名付けられており、実際の手と同様に、さまざまな刺激を検出することができると説明されている。

研究をリードするCSAILの研究員、Subramanian Sundaram氏はこれまで、人間と同じように皿を拭くことができるなど、ロボットに鋭敏な触覚機能を備わせる研究をしてきた人物だ。AI手袋の研究成果をさらに向上させれば、「完璧な触覚を持ったロボットアーム」を製作できるようになっていくはずだと今後の見通しを語る。

研究チームは、AI手袋を開発するために伸縮性のある約15ドルの手袋を用意。そこに、対象やモノゴトを検出するため548個のセンサーを取り付けた。人の手には、約1万7000本の機械受容器神経線維があり、外部から加わるさまざまな物理的刺激を触感信号に変換している。その機能を、大量のセンサーを使って代替しようという試みだ。


courtesy of MIT

なお、Sundaram氏によれば、既存の研究過程においてもロボットアームにセンサーを取り付けたケースがあったが、その数は50個ほどにとどまっていたという。今回は約10倍の量のセンサーを搭載することになった。しかも、生産コストを10ドル台で調整できるのも特徴のひとつとされている。

今回開発されたAI手袋は単にセンサーが多いだけではなく、映像から得られた情報を学習することでスマートになっていく。人間は視覚から得た情報と触覚を連動させ、対象の状態を覚えていくが、同じプロセスを再現しようということになろう。現時点で、空き缶、はさみ、テニスボール、スプーン、ペン、マグカップなど26個のモノと関連した、13万5000フレームの触覚データセットを識別するまで能力が拡充された説明されている。

Sundaram氏は、「ロボットがこのAI手袋を着用すれば、人間のようにモノゴトを感知し対応することができる」とする。対象物を動かす、掴み上げる、下ろす、意図的に落とすなどのアクションがそれにあたる。

既存の産業用ロボットや協働ロボットでは、無造作に置かれた形が異なる物質を自由にピックアップ、もしくは分別するタスクを処理することが難しいとされてきた。今後、人間のような細かい手作業を再現することがひとつの課題とされている。同分野では、すでにディープラーニングを使った学習などさまざまなアプローチで研究が進んでいる。大量の細かいセンサーと機械学習を組み合させた、AI手袋の技術革新にも期待したい。

連載 : AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河鐘基(ハ・ジョンギ)

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