同社は2015年、サンフランシスコにサラダボウルの注文から受け取りまでを自動化した無人レストラン「eatsa」をオープン。近年は自社レストランを運営するほか、都市部のテイクアウトを行う飲食店にオペレーションを効率化する技術を提供する。
「eatsaが提供するのは、モバイル化を進め、仕事量を減らし、生産量を高め、カスタマー体験を向上させるエンドツーエンド(全工程を包括的に管理する)のプラットフォームだ」とヤングは話す。
「消費者の目に見えるサービスとしては、セルフサービスの注文コーナー、アプリ、デジタルのメニュー看板、常にオーダーの進行状況が表示される受け取りコーナーなどがある」
ヤングが今年1月に発表した「Spotlight Pickup System」は、デリバリーの受け渡しをスムーズにする画期的なシステムだ。
「才能あるエンジニアのチームがIoTやロボット工学や機械学習を取り入れ、注文サイクルを効率化するためのソフトウェアを開発した」とヤングが語るこのシステムでは、消費者は飲食店のセルフサービス注文コーナーやeatsaのアプリ、またはサードパーティのフードデリバリーアプリから注文。
オーダーの進行状況がアプリ上で表示され、受け取り可能な状況になると、注文客もしくは提携するデリバリー業者は受け取り「スポット」に案内される。飲食店のカウンターなどに設けられたスポットは注文別に区切られており、それぞれのディスプレイ画面に注文者の名前と店からのメッセージが表示される。さらにセンサーも搭載されており、オーダーの全工程がクラウドで管理されているという。
全ての店で「常連客」になれるサービス
注文客にとって、自分のオーダーを分刻みで追跡でき、作り立てのフレッシュな状態で受け取れるのは大きなメリットだ。調理スタッフとデリバリー業者の連携がうまくいかず、調理済みの料理が長時間放置されるリスクも減るため、衛生面でも安心できる。
一方、飲食店の側は、注文から会計、調理、受け取りまでの各プロセスにどれだけの時間がかかっているかを把握することで、ワークフローの改善に取り組むことが可能になる。
ヤングは、外食産業は今まさにデジタル技術によって変革の時を迎えていると考えている。小売産業がデジタル技術で大きく変わり、消費者の求めるサービスも高度化しているように、人々は飲食店にもこれまで以上のサービスを求めるようになっているという。
「我々は飲食店がこの新しいデジタル時代に受け入れられるための手助けをしたい。そのためには消費者の需要に応えるだけでなく、消費者の一歩先を行く必要がある」とヤングは話す。
「たとえば、地元のコーヒーショップに入ったら、バリスタがあなたを名前で呼び、既にあなたが何を注文するかを知っているようなサービスだ。テクノロジーを活用することで、すべての場所ですべての人に常連客気分を味わってもらえるような、パーソナライズされたサービスを提供することが可能になるだろう」