同グループは去年12月、インドネシア・バリ島の南端ウルワツに、新しいリゾート「シックス・センシズ・ウルワツ」をオープン。今回、日本のメディアとしては、初めて取材に訪れた。
バリ島のデンパサール空港から車で1時間あまり、リゾートの入り口には巨大な門があり、別世界へと誘うかのようだ。到着したレセプションは、真っ青な海と空を連想させる透明感のあるブルーの配色が目に優しく、心のなかまで洗い流してくれそうだ。
チェックインを済ませてカートに乗り、客室へと向かう。広々とした海を見渡す斜面には鮮やかな南国の花々が生い茂る。全部で103室ある客室からは、もちろんすべて海が望める。客室のヴィラは、バリの伝統的な家を模したつくりで、祭壇がある小さな前庭を通って部屋へと入る。宿泊した2ベッドルームのペントハウスは、目の前にはプライベートプールが広がっていた。
ウェルカムドリンクは、抗酸化物質でもあるアントシアニンたっぷりのドラゴンフルーツのスムージー。添加物やグルテン、乳糖、糖分などは極力避け、免疫力を高め、消化・吸収力を高める腸内細菌を活性化させる素材を選択しているという。
レセプションからの絶景
シックス・センシズグループの料理は、植物性の食材では、「レクチン」が少ないものを使用している。これは、グループの健康プログラムづくりにも関わっているアメリカの著名な心臓外科医、スティーブン・ガンドレー氏の提案によるものだ。ガンドレー氏は、植物性の食べ物を中心に生活している人々の間でも、肥満などの現代病が蔓延していることに疑問を抱き、研究を始めた。
そして、動物などの食害から身を守るために、植物がつくるタンパク質であるレクチンが、現代病の原因になっていると考えた。そのため、植物性の食材であっても、レクチンが少ないものを摂取することをすすめているのだ。グルテンもレクチンの一種であり、小麦はもちろん、ジャガイモなどにも多く含まれているという。
南米と日本のフュージョン「日系料理」
シックス・センシズ・ウルワツでは、オーダー式の朝食メニューでも、なるべくレクチンの少ない食事が摂れるよう配慮がされている。エッグ・ベネディクトの下にはパンやハッシュドブラウンではなく、青リンゴの角切りが敷かれている。
ちなみに、朝食のメニューには効能が書かれていて、エッグ・ベネディクトは「痩身」、グルテンフリーのバナナブレッドのフレンチ・トーストには「睡眠と回復」。「食べて健康になる」というコンセプトが、目でも確認できる。全般的に健康志向なチョイスではあるが、朝食ビュッフェには小麦を使ったクロワッサンやベーコンなども並んでおり、健康一辺倒ではない、自由な選択もできる。
ここには、グループ初の日系料理レストランの「クルド」があり、南米と日本の料理のフュージョンである「日系料理」に、さらにバリの食材や独自のスパイスを加えてアレンジした、オリジナルの料理を提供している。こちらにも、すべてのメニューに、「グルテンフリー」「乳製品フリー」などの表記がある。
エグゼクティブ・シェフのリカルド・ルファン(右)
エグゼクティブ・シェフのリカルド・ルファンは、「日系料理はグルテンを含まない米が主食。ラテンアメリカとインドネシアは気候が似ていて、海水の温度も近い。共通する食材も多く、料理としての親和性は高い」と語る。