去年の42位から9位に大幅にランクを上げた、シンガポールの「Jigger & Pony」も、日本人バーテンダー江口明弘が取り仕切るバーだ。
シンガポール国内に6軒のバーを構える彼は、「シンガポールは多様性のある国。バーも、ヨーロピアンスタイルから、NYスタイル、日本スタイルなど様々なスタイルがある。海外で活躍する日本人バーテンダーには、日本のオーセンティックバーそのままのスタイルでやるか、柔軟に海外のやり方を取り入れるか、2つのタイプに分かれるが、自分は後者。シンガポールの多様性を吸収しながら、自分が良いと思うカクテルを表現していく」と語る。
「Jigger & Pony」はクラッシックなヨーロピアンスタイルだが、同グループのバー「Gibson(15位)」では、イベリコ豚を使ったカクテルなど、イノベーティブなスタイルで提供するなど、型にはまらない展開を行なっている。
また、25位にランクインした「D.Bespoke」も、「日本よりも日本らしいバーを」をコンセプトに、日本人バーテンダー金高大輝が手がけるバーだ。重厚な調度品や革張りのソファなど、銀座のオーセンティックバーの雰囲気が味わえるだけでなく、伝統工芸の作家に依頼して作った金網のランプシェード、木桶のシャンパンクーラー、西陣織のクッションなど、日本の伝統工芸と西洋の文化を融合させ、バーとしてだけでなく、「文化の架け橋」としての取り組みを行なっている。
西洋の文化であるバーテンディングを、日本独自の形で取り入れ進化させた「日本スタイルのバーテンディング」は、既に欧米のバーテンダースクールで学ぶ科目の一つとなっており、今後、日本を飛び出して活躍する日本人バーテンダーたちが、さらに注目を集めていくことになるだろう。
「アジア最高のバー2019」は以下の通り。
1. The Old Man|香港
2. Manhattan|シンガポール
3. Indulge Experimental Bistro|台北
4. Native|シンガポール
5. Atlas|シンガポール
6. High Five |東京
7. Speak Low|上海
8. The Bamboo Bar At Mandarin Oriental|バンコク
9. Jigger & Pony|シンガポール
10. Quinary|香港