本インタビュー後、彼女にとって3つ目のビジネスである「Passphere」が、ニュージーランドの大手チケッティング会社と合併、成功裡にローンチし、グローバル展開に向けて動き出した。
この野心にあふれる24歳の連続起業家に、大学を中退して起業の世界に入った理由、インタビュー当時、2週間後に立ち上げを控えていた新ビジネス「Passphere」について聞いた。
──今回の来日の目的はなんですか?
今回の訪日では、日本で5〜10年運営しているニュージーランドの企業数社を訪問する予定です。日本のカントリーマネジャーとして採用したい人物に会う予定もあります。
私たちのオフィスは現在、ニュージーランドのウェリントンとオークランドの2都市にありますが、ここ日本で人材を採用して、日本にもオフィスをオープンするつもりです。滞在中にはいくつかミーティングをして、その準備をする予定です。
──ニュージーランド政府は、スタートアップ企業をどのように援助していますか? 支援プログラムのようなものはありますか?
はい、政府はスタートアップを強く援助してくれています。私たちのビジネスの場合、今年の経費の大部分を占めるR&Dのコストの40%を負担してくれましたし、ニュージーランド国内はもちろん、オーストラリアや米国、そしてアジア、とくに日本やシンガポール、マレーシアなどでの提携先を紹介してくれました。各国での人材採用やリーガル面でのサポートもしてくれるのがありがたいです。セールスやマーケティング、ビジネスディベロップメントを諸外国につなげるサポートもしてくれました。
ニュージーランドに拠点を置きながら、製品の市場は諸外国に訴求するのが私たちの大きなグローバル戦略です。政府はそういう戦略もサポートしてくれます。
「完璧な」チケッティングソフトウェア構築を目指して
──あなたの3つめになるスタートアップ、「Passphere」について教えてください。
Passphereの準備を始めたのは2年前です。その頃から、イベント、フェスティバル、会議やエクスポなどのチケット予約サービスの需要は世界的にとても大きいと感じていました。
そして1年前にアマゾンのAWSと100%提携しました。AWSが新しいモジュールを使い始めたので、データやコードをすべてリムーブし、まったくゼロから立ち上げ直したんです。サポートしてくれるニュージーランドAWSのエンジニアがいて、一緒にやっています。おかげで、世界でもっともスケーラブルな技術をいくつか手にすることができました。100万人がチケットを買おうと私たちのWebにアクセスしても、対応できるんです。
Passphereのダッシュボード。イベント開催者はリアルタイムで、自らのイベントの表示・管理をすることができる。分析結果の閲覧もでき、カスタマーを知ることができる
Passphereにログインすれば、世界中のイベントやカンファレンスのチケットをどこからでも購入することができます。また、ユニークな点として、イベントの主催者側が、Passphereを通じてチケット購入者のフィードバックを受け取り、イベントを市場に求められている仕様に「デザインし直す」ことができます。
米国、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、日本、アムステルダム、クロアチア、リベリアなどでオフィスを探しています。イベントは世界中どこででも行われるので、世界中にパートナーが必要なんです。
Passphereは私にとって3番目の会社ですが、3つめのチケット購買システムで、完璧なチケッティングソフトウェアを構築するためにやってきた過去7年間の知識すべてをつぎ込んでローンチしようとしています。
今は8人の会社ですが、ニュージーランドの大きなチケッティング会社「iTicket」と提携することが決まり、15人の社員と一緒になることになります。彼らの専門知識や人脈、14年の経験と、私たちの7年間が一緒になる。ニュージーランドではここ長いこと起きていなかった、すばらしいことだと思います。