米国の「キャッシュレス禁止」が見落としている本当の問題

(Spencer Platt/by Getty Images)


キャッシュレス決済の時代はやってくる。レジなし店舗に導入される技術を開発するスタートアップを挙げてみれば、グーグルで検索してみるまでもなく、ジッピン(Zippin)やAVAリテール(AVA Retail)、スタンダード・コグニション(Standard Cognition)、トリゴ(Trigo)、グラバンゴ(Grabango)、アイファイ(AiFi)、エイアイポリー(Aipoly)といった名前が次々に頭に浮かんでくる。

さらに、これらは全て、コンピュータービジョン技術を扱う企業だ。レジなし店舗にはその他、スキャン&ゴー技術を採用するものも数多くある。

本当の問題は、現金払いができなくなることによって銀行口座を持たない人の権利が奪われるのを米政府が防げるかということではない。こうした人たちが就くことができる仕事がなくなることで、彼らの権利が奪われるのを防げるかどうかということだ。

マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツは以前から、政府は業務にロボットを導入する企業に課税すべきとの考えを明らかにしている。米紙ニューヨーク・タイムズも先ごろ、ロボットへの課税に関する複数の見方を紹介、分析する記事を掲載した。

レジなしの小売店が技術的に「ロボットによって」運営されているのかといえば、それはそうではない。ただ、アマゾンやその他のキャッシュレス決済の技術を開発する企業はいずれも、基本的に同じ機能を提供している──労働者に代わるテクノロジーによって、店舗にかかる人件費を抑えている。

ロボットへの課税をどのように捉えようと、それは問題の核心ではない。実際には目に見えないさまざまなことが起きていることを示す一つの例にすぎない。

キャッシュレス店舗の禁止は現時点では、利他的で進歩的な行動のように見えるかもしれない。だが、それは将来に起こる本当の問題に対応するための重要なものとして、かつて行われていた理容店での瀉血(しゃけつ)と同じように、古い治療法だ。

編集 = 木内涼子

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