世界中の人たちをオンラインで繋ぎ、ともに語学学習できるというこのアプリは、2013年に中国の深センで誕生した。
創業者のZackery Ngai CEOは、中国で生まれ、香港で育った。アメリカと韓国への留学経験があり、また日本文化への関心も高く、日本語学習にも意欲的。北京語、広東語、英語、韓国語、日本語を話す、まさにマルチリンガルだ。
「僕は昔から言語学習が好きでした。日本語への興味も強かったので、韓国に留学していた時に、日本語のエクスチェンジパートナーを探しましたが、なかなか見つけることができませんでした。それで、オンラインで世界を繋ぎ、世界中の人たちが言語学習で助け合い、楽しく交流しながら学習できる、新たなコミュニティーを開発しようと思ったのです」
コミュニケーションの場でもある
ハロートークは、利用してみるとよくわかるが、よくできている。例えば、私が中国語を録音して、その音声をこのアプリで繋がる「友だち」に送ると、正しい発音で送り返してくれる。また、その音声を瞬時に文字化もしてくれる。
そして、ハード面はもちろん、ソフト面のクオリティの高さに、ユーザー同士の愛さえも感じる。昨年は世界の主要60都市で、ユーザーが集い、対面して交流を楽しむミートアップイベントも開催された。日本でも東京、横浜、大阪の3会場で催され、大盛況だった。
「重要なのは、ユーザー同士が友だちとなり、良質なコミュニティーをつくり上げてくれることです。異なる言語を学び合うということは、同時にその文化と習慣も互いに学び、『理解し合い、助け合う』ということです。そのビジョンをユーザーに理解してもらい、自分たち自身でモラルをつくりあげてくれるよう努力してきました」
Zackery氏がハロートークに託すのは、単なる語学学習のアプリとしてではなく、もっと高い志、世界中の人と人のコミュニケーションの場でありたいという思いだ。
「日本人のユーザーにはとくに感謝しています。実は、ハロートークで、英語の次に人気のある学習言語は日本語であり、日本の皆さんがとても素晴らしい対応をしてくれるので、対するユーザーもマナーがとても良い。相乗効果が生まれています。桜のシーズンには、世界中からお花見の投稿が、日本語でアップされていました」
現在、Zackery氏の仕事をサポートしているTwiggyさんも、元はハロートークのユーザーだった。
「4年ほど前からユーザーとして、日本語を勉強していました。このコミュニティが大好きなので、自ら応募しました。私のように、ユーザーから始まって、ここで働きたいという人は多いのです」
とはいえ、中国のスタートアップでは、新人を育てるという環境が、あまり整っているとは言えない。中国では「人材」のことを「人才」と書くが、「才」は、もちろん「才能」の「才」だ。ハロートークには、この人才を育てる社風があるという。