インスタグラムが「いいね」数の非表示を検討している理由

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インスタグラムは現在、投稿の「いいね」のカウントを非表示にするテストを実施中だ。4月19日にリバースエンジニアのJane Manchun Wongがテスト版のアプリのスクリーンショットを公開して以降、この噂は広まった。

さらに、インスタグラムの運営元のフェイスブックは先日のF8カンファレンスの場で、間もなくこのテストをカナダで正式に開始すると宣言した。

インスタグラムのユーザーは常にいいね数やフォロワー数に気を配るが、同社は今後、利用者に「コンテンツの質や友人とのつながり」に意識を集中してもらいたいと考えている。今回のテストでは、投稿を行った本人のみがいいね数を確認可能になり、他人からはいいね数が見られなくなる。これにより、いいね数を競うモチベーションが下がることになる。

同社は今回の措置で、利用者らが過剰にいいね数を意識し、メンタル的に不健全な状態になることを防ごうとしている。

SNSが若者のメンタルヘルスに与える影響を英国の王立公衆衛生協会(RSPH)が調査した結果、最も心理的に悪影響を与えているのが、インスタグラムであるとされた。2017年に実施されたこの調査では、いいね数への執着が不安感や孤独感、自分の外見への劣等感などのネガティブな影響を引き起こすとされた。

一方でインスタグラムの投稿で生計を立てているインフルエンサーからは、懸念の声もあがっている。現状ではフォロワー数の非表示までは検討されていないものの、インスタグラムで生計を立てる人々は、いいね数の非表示で打撃を受ける可能性もある。

ただし、今回のいいね数の非表示はあくまでもテスト段階のものであり、カナダ以外の地域にエリアが拡大するかどうかは不明だ。他のテストと同様に、利用者同士の交流やエンゲージメントが向上しない限り、インスタグラムがこの措置を拡大することは考えにくい。

また、仮にテストが成功した場合、いいね数の非表示措置がフェイスブックにも導入されることも想定できそうだ。

編集=上田裕資

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