テクノロジー

2019.05.02 08:00

誰でもバイリンガルになれるイヤホン、深セン企業が開発

Timekettleが開発した「WT2」(Photo courtesy of BEN SIN)

Timekettleが開発した「WT2」(Photo courtesy of BEN SIN)

中国の深センに本拠を置くスタートアップ「Timekettle」は、リアルタイムの通訳機能を持つワイヤレスイヤホン「WT2」を開発した。このデバイスは、異なる言語を話す2人のユーザーが装着して使用する。

Google翻訳をはじめ、話し言葉を通訳してくれるアプリは多数存在するが、WT2が優れているのは、周囲の人が話している言葉や雑音に惑わされないことと、ユーザーがボタンを押さなくても自動的に通訳してくれることだ。

WT2の使い方はこうだ。ユーザーは、専用アプリ上で会話に用いる言語を登録する(アプリは、iOS版とAndroid版がある)。あとは、ユーザーがイヤホンを装着して自分の言語で話せば、もう一方のユーザーのイヤホンが通訳してくれる。


専用アプリの翻訳画面(Photo courtesy of BEN SIN)

筆者が作成したデモ動画では、ガールフレンドと筆者がWT2を装着してスペイン語と広東語で会話をしているが、何も操作をしなくても自動的に通訳をしてくれているのが見て取れる。精度は非常に高いが、広東語からスペイン語への通訳で少し誤訳があった。



口語を中心に発達した広東語を通訳できることには驚かされた。筆者がよりフォーマルな北京語を話してみたところ、WT2は格段に高い精度で英訳することができた。英語と日本語でも試してみたが、通訳はスムーズだった。

WT2が双方向通訳に対応しているのは36言語で、この中には既に述べた言語の他にアラビア語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、ヒンズー語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語、ベトナム語が含まれる。使用するためにはインターネットに接続する必要がある。

見知らぬ人にイヤホンを着けてもらうのが困難な場合、イヤホンのマイクに話しかければアプリがテキストで翻訳し、スマホのスピーカーから音声で読み上げてくれる。

イヤホンを収納する充電ケースは、Micro-USBを使って接続する。1回の充電で12時間使用することができるが、それほど長時間利用することは少ないかもしれない。


AirPodと比べると少し大きめのイヤホンと充電器(Photo courtesy of BEN SIN)

価格は210ドルだが、現状では通訳機能しかないため、少し割高に感じる。個人的には、ブルートゥース経由で音楽が楽しめるようになることを期待したい。同時通訳が可能なイヤホンはクールだが、実際にはGoogle翻訳アプリを起動して話しかけた方が実用的かもしれない。

それでも、Timekettleが実現しようとしていることは野心的であり、その努力は称賛に値するだろう。

編集=上田裕資

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