バケーションよりステイケーション 休暇は「近場で豪遊」が欧米で旬

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今年のゴールデンウィーク。計画はお決まりだろうか。これからだとどこを予約してもいっぱい、あるいは、混雑は憂鬱、でも今年はとくに10連休だし何もしないのも……でお悩みの向きも多いと思う。

欧米では数年前から、「Staycation(ステイケーション) 」が静かなブームだ。

英紙ガーディアンによれば、ブレグジットが発表された直後にポンドの価値が暴落したことをきっかけに、海外を始め長距離の旅行を控える代わりに、休暇では「家の近くで贅沢」を決めこむイギリス人が激増したことがきっかけだそうだ。すなわち、バケーションではなく「ステイ」ケーション(その場にいながらの休暇)である。

「近場の贅沢」の非日常

米紙ニューヨーク・タイムズは2017年、「ステイケーション 」についてニューヨークの旅行代理店「リーダーズ・イン・トラベル」チーフ・エグゼクティブ、マーラ・シャファー氏にインタビューしている。

シャファー氏は「家の近所にある話題のスポットこそ、だいたいの人が行ったことがないもの。でも『自分の家の裏庭』的なエリアに注目すれば、ちょっと特別な休暇の過ごし方が発見できるんです」と話す。

同氏は、贅沢なホテルを予約する、情報収集に地元の観光案内所を利用する、近場なら「散財」もあり(「ヘリコプターにだって乗れる」)、スケジュールを詰め込みすぎない、といった「ステイケーションの心得」を説いている。たとえば近所のワインストアで無料のヴィンテージワインテイスティング会を楽しむのも立派なステイケーション と彼女は言う。

たしかに、近場にあるリッチなホテルであたかも遠くまでエスケープしたかのような「妄想」を味わうのも最高かもしれない。自室とはほど遠いゴージャスな環境を満喫し、至れり尽くせりのサービスで自分をたっぷり甘やかす(日本なら、ルームサービスを頼んでも一般的にチップは不要だ)。探せば、レイトチェックアウト、エステサービスなどを含んだパッケージもきっとあるだろう。

それに、飛行機代やお土産代を払うことを思えば、「ちょっと非日常な贅沢」もOKなのがステイケーションの魅力ではないか。帰り道にいつも横目で見て通り過ぎる三つ星レストランでディナーとか、エステのプレミアムコースで、テク二シャンの神の手に思う存分わが身を委ねてみるとか。
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文=石井 節子

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