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2019.04.19 18:00

万年筆は最高のビジネスツール。香りまで特別なモンブランの逸品

「グレートマスターズ ジェームズ・パーディ&サンズ スペシャルエディション」(フォーブスジャパン4月号より)

「グレートマスターズ ジェームズ・パーディ&サンズ スペシャルエディション」(フォーブスジャパン4月号より)

持ち物にはその人の品格が出る。よい物には理由があるのだ。

ファッションディレクターの森岡 弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る連載。第25回は万年筆がブランドのルーツとなった「モンブラン」をピックアップ。


小暮昌弘(以下、小暮):今回取り上げるのは万年筆ですね。

森岡 弘(以下、森岡):私は、万年筆はビジネスツールのひとつだと思うのですよ。名刺入れなどと同じく、それをもっていることがある意味自分のポジションやステイタスを物語る、そんな重要なアイテムではないでしょうか。

小暮:昔は、社会人になるときに、親から子へプレゼントしたり、あるいは譲り渡していた時代もありましたね。

森岡:最近ではビジネスツールもデジタル化の傾向があるので、会議にパソコンを広げて書き留めている人が増えましたが、何か書く必要があったときに、胸ポケットからサッと万年筆を取り出せたら、カッコよくありませんか。それこそ紳士の所作と言えます。

小暮:そうですね。そのときのペンが、簡便なタイプのペンだとカッコよくは見えませんからね。ビジネススタイルの格のようなものが違ってくるといったら大袈裟でしょうか。でもビジネスでは筆記具を相手に「どうぞ」と渡す場面もありますから、どういうペンを常に用意しているかは、とても重要です。

森岡:そこで今回紹介するのは、モンブランです。最近では、腕時計やレザーグッズなども人気のブランドですが、モンブランの鉄板アイテムと言えるのが万年筆です。

小暮:創業は1906年。エンジニアのアウグスト・エーベルシュタイン、セールスマンのアルフレッド・ネヘミアス、銀行家クラウス・ヨハネス・フォスがドイツのハンブルグで会社を立ち上げ、万年筆の開発を始めたというブランドです。

つまり万年筆はこのブランドのルーツになったものです。ブランド名が登録されるのが確か1909年で、ブランドのトレードマークになっている6つのポイントの「白い星」は、1913年に商標が登録されています。

森岡:キャップのこのマークを見ただけでモンブランの万年筆だとすぐにわかりますからね。ビジネスツールとしては最高のアイコンです。

小暮:白い星はヨーロッパアルプスのモンブラン峰の山頂をイメージしているそうですよ。確か名品「マイスターシュテュック」のペン先には「4810」の数字が刻印されていますが、これはモンブラン峰の標高を表していたと思います。

森岡:実はですね、今回紹介するのは、マイスターシュテュックコレクションの「グレートマスターズ ジェームズ・パーディ&サンズ スペシャルエディション」というモデルです。

小暮:「マイスターシュテュック」というと、ブラックのボディがお馴染みですが、これはブラウンで、色も独特ですね。ジェームズ・パーディ&サンズは、ライフル銃専門メーカーで英国王室からワラントを受けているのではないでしょうか。

森岡:そうです。このモデルは200年以上の歴史をもつこの老舗に敬意を表したもので、実際にライフル銃に使われているウォルナット材をボディに採用しています。さらに薔薇や渦巻きといった同ブランドのアイコニックなパターンやチェック状の彫刻まで入っているそうです。

小暮:「マイスターシュテュック」のなかでも特別な一本なわけですね。

森岡:それに、このコレクションで用意されているインクは、とてもいい香りがします。シングルモルトウィスキーをモチーフにしているそうです。紳士が愛する香りと言えそうです。

小暮:そうなのですか。香りでも特別な感覚を出しているのですね。そういうところまで、気を配っているのが、老舗の老舗たる所以なのでしょうね。

森岡:老舗の強みを存分に表現したモデル。まさに紳士がもつべき香り立つ逸品ですね。

森岡 弘
◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ現在に至る。

小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure fashion direction by Hiroshi Morioka | illustration by Bernd Schifferdecker | edit by Akio Takashiro

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