ストラトローンチは、ロケットの空中発射ミッションを担う世界で最も巨大な航空機で、昨年10月に死去したマイクロソフト共同創業者のポール・アレンが設立したストラトローンチ・システムによって製造された。
「初の飛行テストを成功させて感動している。ロケットの発射に、新たな選択肢を与える夢の実現に一歩近づいた」と、ストラトローンチCEOのJean Floydは声明で述べた。
機体の設計及び製造を行ったのは、2007年にノースロップ・グラマンが買収した航空機・宇宙機メーカー「スケールドコンポジッツ(Scaled Composites)」だ。13日のテスト飛行の操縦は、スケールドコンポジッツのテストパイロット、Evan ThomasとChris Guarenteらが担当した。
「ストラトローンチは非常に複雑でユニークな航空機だが、今回のテストでパーフェクトな結果を残せた」とThomasは記者発表会で語った。
ストラトローンチの翼幅は117メートルに及び、これまで製造されたどの航空機よりも大きい。ボーイングの747の翼幅は約65メートルで、その2倍近いサイズだ。747のエンジンを6発搭載した双胴機のストラローンチは、人工衛星を搭載したロケットを空中から発射する能力を持つ。
スケールドコンポジッツは2004年に、再利用可能な宇宙船「スペースシップワン (SpaceShipOne)」を高度約100 kmの宇宙空間に送り込み、世界初の民間による有人宇宙飛行を成功させた企業として、Ansari X Prize(アンサリ・エックスプライズ)を受賞していた。このプロジェクトを支援したのが、ポール・アレンだった。
英ヴァージングループ傘下の「ヴァージン・オービット(Virgin Orbit)」も、空中発射ロケットで小型衛星を軌道に送り込む計画を進めている。
ストラトローンチは今後、外部企業のロケットの空中発射ミッションを請け負うことを目指している。最初に発射するロケットは、ノースロップ・グラマン社製のペガサスロケットで2020年の実施を目指している。
近年が様々なスタートアップが、宇宙に衛星を送り込もうとしており、ロケットの空中発射が実現すれば、地上からの発射と比べ、柔軟なタイムスケジュールで打ち上げサービスの提供が可能になる。
空中発射の実現に向けてはまだ課題もあるが、迅速な衛星の打ち上げを望む企業にとって、新たな選択肢が加わることは非常に心強い。