陸から海へ戻った哺乳類「クジラの進化」を解き明かす発見

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クジラの祖先たちは太古の昔、陸上に居たことが様々な研究から分かっている。ペルーで発見された化石で、再びその事実が裏づけられた。約4260万年に存在したと推定される、クジラの化石に関する論文が、科学誌の科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された。

「クジラの祖先は犬ほどの大きさのヒヅメのある哺乳動物だったが、それが長い進化の過程を経て海中に住む、愛すべき動物に変化した」と、ロンドン自然史博物館の博士研究員のTravis Parkは述べた。

哺乳類は一般的に、海にルーツを持ち、それが進化して陸にあがったと考えられがちだが、クジラの場合は逆のコースをたどった。インドやパキスタンで見つかった初期のクジラの化石を調査した結果、陸にルーツを持つ彼らは今から5000万年ほど前に、南太平洋の海に戻っていったと見られている。

今回ペルーで見つかった化石は、そのクジラたちが西に進み、今から4000万年前頃にアメリカ大陸に到達していたという説を裏づけるものだ。

「この化石はインドやパキスタン以外で見つかったクジラの化石としては、最も古いものだ。アメリカ大陸では最古のクジラの化石といえるだろう」と、論文の筆頭執筆者のベルギー王立自然史博物館のOlivier Lambert博士は述べた。

今回の化石は「旅するクジラ」を意味するPeregocetus pacificusと名づけられた。約4260万年前に存在したと推定されるこのクジラは、4本の足を持ち、つま先にはヒヅメがあることから、陸を歩く能力があったと考えられる。また、つま先に水かきがあり、大きな尾ひれもあることで、泳ぎも得意だったことも伺える。

「このクジラは水中では尾ひれを用いて力強く泳いでいたはずだ。また、陸上では四本の足で歩き回ることもできた」とTravisは述べた。

「これまでの化石から、クジラの祖先は南大西洋を経由して、アメリカ大陸にやってきたと考えられる。当時のアフリカ大陸と南米大陸との距離は、現在の半分ほどだった」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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