この他にも、白人男性と有色人種女性の賃金格差を示す「同一賃金の日」が多数存在する。8月22日は白人男性が1ドル得るごとに黒人女性が0.61ドル得ること、11月20日は白人男性が1ドル稼ぐごとにラテン系女性が0.53ドル得ることをそれぞれ表している。
米国で男女の賃金格差がなくなるまでには100年かかるとする分析結果もある。家庭に人工知能(AI)が導入されるような想像を超える科学的進歩が起きているというのに、男女の賃金格差が2119年までなくならないとは、いったいどういうことなのか。
働く女性のために闘う人々は、同じ仕事に対する報酬が異なる状況は持続不可能かつ企業にとってもよくないことだと考える人々と声をそろえて、改革に向けた取り組みを進めている。特筆すべきなのは、こうした声の中に男性も多く含まれていることだ。平等な賃金は女性だけの問題ではなく、全ての人に影響する。大企業は平等な賃金に関する取り組みやデータを公表し、変革を後押ししている。
スターバックスは同一賃金の日に合わせ、性別・人種間での賃金平等に向けた10年にわたる取り組みの集大成である従業員・雇用主向けの指針「Pay Equity Principles(賃金平等の原則)」を、他社での変革加速のために活用することを発表した。
同社のロザリンド・ブルーワー最高執行責任者(COO)は「私たちは今日、『賃金平等のための雇用主団体(Employers for Pay Equity)』に加盟する20社以上と共に、各社が賃金平等の原則を採用し、その進捗を共有するよう確約する書簡に署名した」と表明。「このグループには、賃金平等を達成する上で異なる課題を抱える各業界の企業が参加しているが、参加企業はすべて、協働により全米の男女賃金格差解消を加速できるとの考えで一致している」と述べた。
性別や人種による賃金格差解消に向けスターバックスが歩んだ道のりは長く困難なもので、同社に多くの学びをもたらした。
「スターバックスが全社的な報酬調査を始めたのは2008年。分析、イノベーション、警戒の日々を10年以上続けた結果、米国内で同じような仕事をする人の間での性別や人種の賃金格差をなくし、100%の平等を達成した。目標はシンプルに聞こえるが、スターバックスのような理念主導型の企業でも、その過程は不完全で難しいものだった」(ブルーワー)