ビジネス

2019.02.27 08:30

「就活以外の選択肢を増やしたい」 世界を熱狂させる起業イベントSlush東京版を率いたのは大学生だった

Slush Tokyo CEOの古川遥夏

「COMFORT ZONE ENDS HERE. (安全地帯はここで終わりだ=チャレンジはここから始まる)」

Slush Tokyo 2019の会場入り口に堂々と並べられたメッセージ。その下に「welcome to SLUSH TOKYO(SLUSH TOKYOへようこそ)」と綴られている。身が引き締まる思いで、イベント会場に足を踏み出す。



世界最大級に成長した起業イベントSlushは、2008年に6人の起業家によって北欧のフィンランドで始まった。11年目を迎えた昨年、20000人の参加者が130カ国以上から集まった。世界中から注目される祭典は、東京でも開催されている。「Slush Tokyo 2019」は今年で5年目を迎えた。

2日間で6000人の参加者、600社のスタートアップ、250人の投資家が東京ビッグサイトの会場に集まった。大企業のスポンサーが何社もつき、国内外から300のメディアが取材した。そんな大規模イベントを支えたのは、400人の学生ボランティアだった。

今年、Slush Tokyo代表の座はフィンランド人のアンティ・ソンニネンから、東京外国語大学に通う古川遥夏の手に渡り、初めてローカルスタッフが代表になった。Slush Tokyoは今後日本と東京をどのように変えたいのか、スタートアップイベントを支え、まさにチャレンジをし続ける彼女にその展望を聞いた。(以下、古川談)

スタートアップ、AI、VRの意味も知らなかった
 
2016年大学2年生の時に、Slushと出会いました。私の友達が、このイベントにボランティアしてみない?って軽く誘ってきたのがきっかけです。その時はあまり時間がなかったのと、ホームページを見て、スタートアップイベントではなくクラブやフェスだと思ったので、「いいよ!」と軽く言いました。英語を使いたかったのも参加した理由の一つです。

当時は、「スタートアップ」という言葉も知りませんでした。VR、AIの意味も知らなくて、テクノロジーに関しての知識はゼロでした。大学の専攻はフランス語とアートだったので、テックの世界とは正反対にいましたし、実はテックの世界が苦手でした。特に就活で、「このインターンにフルコミ!」、「このチームにジョインします!」といったテック業界特有の文化が苦手でした。そこにいる人たちが会社の名前を使うだけで何をやりたいのかはっきりしていないように見えたのです。

テック業界は本当に苦手でしたけど、Slush Tokyoに参加した今は大好きになりました。当時、自分の知らないことだらけだったので、殻に閉じこもって勝手に怖がっていたんです。その時の自分は、安全地帯にいながら、なんでも知っていると思っていたんですよね。でも、それは間違いでした。何も知らなかったんです。井の中の蛙、ですね。
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写真=林亜季

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