2月20日にアナウンスされた今回の資金調達により、ロサンゼルス本拠のClutterの累計調達額は2億9700万ドルに達した。同社の企業価値は6億ドルとされた。
Clutterは預けたい荷物を自宅まで取りに来てくれる、オンデマンドの倉庫サービスだ。スタッフは荷物をデジタルのカタログに記録し、倉庫に運んで保管する。預けた荷物を自宅に戻したい場合は、サイトにログインして申請を出せば48時間後には家に届けられる仕組みだ。
今回の調達資金でClutterはオペレーションを拡大し、年内に新たに3都市(フィラデルフィア、オレゴン州ポートランド、カリフォルニア州サクラメント)でサービスを開始する。
同社の創業者でCEOのAri Mirは2017年時点で、2023年までに世界50カ所でオペレーションを開始したいと述べていた。「長期的には、可能な限り多くの顧客を相手にしたいと考える。ただし、直近では既存の市場で拡大を果たしつつ、新たな市場にも基盤を広げていく」とMirは述べた。
Clutterの従業員数は500名で、倉庫スペースの合計面積は2017年から5倍以上に伸び、200万平方フィート(約19万平方メートル)に達している。
ソフトバンクは今回の出資により、Clutterの競争力を高め、一気に成長させたい考えだ。ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、不動産売買プラットフォームのOpendoorにも投資を行っている。
Opendoorで家を売り買いした人が、Clutteの倉庫サービスを利用するシナジー効果も期待できる。
ストレージ(倉庫)市場は年間売上が380億ドル規模とされる。この分野で主要なポジションを握るのが1972年設立のPublic Storageで、同社の時価総額は360億ドルに及んでいる。
Clutterによると、米国人の10人に1人が既に個人ストレージサービスを利用中という。さらに、米国の個人向けストレージ施設の数は、スターバックスとマクドナルドの店舗の合計数よりも多いという。
同社の競合のMakeSpace やClosetboxらも、従来の使い勝手の悪いストレージサービスを置き換えるビジネスを拡大させている。
Mirは長期的ゴールとして、土地の値段を下げ、過密化が進む米国の都市で誰もが家を買えるようにしたいと考えている。
「今までの個人向け倉庫サービスの場合、週末に友達に手伝いを頼んで、一日がかりの手間がかかっていた。しかし、Clutterならボタン一つでその作業をアウトソースできる」とMirは話した。