イスラエル空軍が生んだテクノロジー
Bar-Yohayはイスラエル軍のパラシュート部隊に13年間務めた経験を持つ。また、共同創業者のAviv Tzidonは、元イスラエル空軍の戦闘機パイロットで、3つのスタートアップ企業をナスダック市場に上場させた連続起業家だ。
Aliceの機体には、シーメンスが開発した最大出力260キロワットの電動モーターを採用する。リチウムバッテリーの製造元は韓国のKokam、機体のフレーム製造と組み立ては、フランスのMultiplastが行うという。
Eviationは既に米国での認可取得に向けて、連邦航空局とも面談を重ねている。Bar-Yohayは、2021年には認可を取得し、2022年に初期モデルのリリースを望んでいる。
「我が社の機体は見た目も動作も、従来の航空機と変わりがない。規制当局から見れば、認可を与えるにふさわしい飛行機といえる」とBar-Yohayは話した。
しかし、航空業界のコンサルタント企業AirInsightでアナリストを務めるErnie Arvaiは、やや厳しい見通しを述べている。電動式航空機の実用化に向けては、バッテリーの発火リスクや充電容量の低下など、様々な懸念を払拭する必要があるという。
ArvaiはEviationが連邦航空局の認証を得るためには、彼らが想像するよりはるかに長い時間とコストが必要になると述べた。しかし、約2億ドルの資金調達を果たしたBar-Yohayは、そのコストは十分賄えると述べている。
さらに、Bar-YohayはEviationが既に2つの小規模な旅客オペレーターから、二桁台の航空機の製造を受注したと述べた。これは、同社が2年間で製造可能なキャパシティだという。
一方でArvaiは、Eviationが適切な市場を選んだ点は評価しており、機体の設計もその市場にふさわしいものだと述べている。しかし、Arvaiが懸念するのは現在のバッテリー技術で、旅客輸送に使える出力や充電時間が実現できるかどうかだ。
「私の個人的意見としては、Eviationは時代の先を行き過ぎている。彼らが望むテクノロジーは、いずれ現実になる。しかし、それは2022年ではなく、2030年頃になるだろう」とArvaiは述べた。
この意見に対し、Bar-Yohayは、バッテリー技術はもう十分完成の域に達していると反論する。そして、肝っ玉の座った起業家であれば、最新のテクノロジーを最大限に活かし、航空業界に乗り込むべきだと主張した。
「いつか、彼らを見返してやる時が来る。昔はそういう時代もあったよなぁってね」