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AI通信「こんなとこにも人工知能」

Sushaaa / shutterstock

花粉を運ぶミツバチの個体数減少が生態系全体を破壊するリスクに繋がる可能性があるとして、世界各国で警鐘が鳴らされ始めて久しい。

減少の主な理由には、殺虫剤など化学物質の過剰散布、地球温暖化による害虫の増加などが挙げられているが、ヨーロッパでは特に「バロアダニ」という害虫の存在が特に問題視されているという。養蜂家たちにとっても、ダニの侵入を監視・防止する方法の確立は急務となっている。

そんななか、スイス連邦工科大学ローザンヌ校・LST5の研究チームが、地域の養蜂家たちと協力して、人工知能(AI)を活用した「ダニ計算アプリ」を開発したという。

これまで、養蜂家たちは養蜂箱の下に備え付けた木の板に落ちた死んだダニの数を数え、ダニの浸食具合がどの程度が把握してきた。しかし、目視による計測では精度が落ちるという問題があった。ダニの大きさは1mm程度で、木の板に落ちているほこりやゴミとの区別が容易ではないからだ。しかもハチの巣がたくさんある場合、この方法は時間効率的にも有効ではない。

今回、AIアプリが登場したことで、養蜂家たちはいちいち肉眼でダニの数を計測・観察する必要がなくなった。というのも、研究者たちはマシンラーニングを活用して、木の板の写真からダニ、他の汚染物質を区分・認識することができるようシステムを学習させたため、養蜂家たちは写真をアップロードするだけで従来の業務をショートカットできるようになった。

なお、同研究では不鮮明な写真、もしくは逆光で対象を認識するのが容易ではない写真の学習も終えているそうだ。また、各養蜂箱にQRコードを貼り付け、時間別・場所別に死んだダニの数、現在まだ残っていると予想されるダニ数、そして次にダニが浸透するであろう場所を予測するプロファイルも作成している。

これまではダニの数を正確に知ることができなかったため、殺虫剤が過剰に投入されてしまうという深刻な問題もあったが、研究チーム関係者は、新たなソリューションによりそれら副次的な問題も解決していくことができるだろうと見通している。

人工知能はミツバチの個体数減少を防ぐことができるのか。新たなユースケースの確立にも期待していきたい。

連載 : AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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