1999年には、抽出したヘンプの成分を使った「Nirvana Homebrews:Hemp N Wine(ニルヴァーナ・ホームブリューズ:ヘンプN ワイン)」を完成させ、連邦当局から製造・販売に関する許可を取得した。
だが、キャステターはそれから間もなく、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(現在のアルコール・タバコ税貿易管理局、TTB)から許可を取り消すとの知らせを受けた。彼のワインとその製法は、いずれも認められないとのことだった。創業したばかりのヘンプ・ワイン・アメリカは、あえなく廃業に追い込まれた。
息子と事業を再開
キャステターは20年前のこの経験について、事業を断念することは非常に難しい決断だったと語る。そして、息子のケイランと共に同じ製法で再びワインを造っている現在、1990年代の規制環境と大麻に対する世間の見方について、大きな変化を実感している。
第9巡回区控訴裁判所(サンフランシスコ)が2004年2月に示した判決を受け、米国ではヘンプオイルとその抽出成分は合法的な製品とされた。ただし、ヘンプに含まれる(向精神物質の)テトラヒドロカンナビノール(THC)が取り除かれていることが条件だ。
米麻薬取締局(DEA)によると、規制物質法の下では、(ヘンプに含まれる別の化学物質で向精神作用がない)カンナビジオール(CBD)が製品に含まれていることは認められている。さらに、各州におけるこの成分の扱いについては、州当局の判断に任されている。
最新の調査によれば、米国では現在、それぞれに異なる規定が設けられているものの、41州がヘンプを合法化している。そして、キャステター家にとっては幸いなことに、ニューヨーク州ではTHCが含まれない限り、ヘンプを使ったワインは禁止されていない。