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I write about science, technology and the cultural ripples of both.

JIL Photo / Shutterstock.com

健康効果に関する新たな研究結果の発表が続いていることから、コーヒーはここ数年、大きな注目を集めている。なかでも高い関心が寄せられているのは、脳の健康への影響だ。

コーヒーの摂取にはいくつかの問題点も指摘されている一方、これまでの研究から、適度な摂取には数多くの利点があることが確認されている。そして、それらの利点の大半は、カフェインの含有量が多いことと関連している。

だが、このほど新たに発表された研究結果によれば、カフェインを取り除いた「デカフェ」にも同様に、脳の健康を維持する効果があるとみられることが分かった。

カナダ・トロントにあるクレンビル・ブレイン・インスティテュート(Krembil Brain Institute)のドナルド・ウィーバー博士が率いるチームは、すでに確認されているコーヒーの摂取と神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)の発症リスクの低下の間に見られる相関関係が、何によってもたらされるのかを明らかにするための研究を行った。

研究チームは、「カフェイン入りのダークロースト(深入り)」と「カフェイン入りのライトロースト」「デカフェのダークロースト」のコーヒーを対象とし、焙煎の過程で生成されるいくつかの化合物(カフェインを含む)について調査。

特に注目したのは、アルツハイマー病の発症と関連しているアミロイドβとタウタンパク質、そしてコーヒーに含まれる化合物の間にどのような相互作用があるかということだ。過去の研究で示されているのは、アルツハイマー病患者の脳内に見られるアミロイドβの異常な塊の形成をコーヒーに含まれる化合物が抑制し、それによって神経を保護する効果がもたらされている可能性があるということだ。

チームが行った実験の結果、焙煎の過程で形成され、コーヒーに苦味を与える「フェニルインダン」が、コーヒーに含まれるその他のどの化合物よりも、アミロイドβとタウの蓄積を阻害する働きを持つことが分かった。

神経の保護においては、カフェイン入りとデカフェのどちらにも含まれる(ダークローストの方がわずかに多く含有)フェニルインダンが、中心的な役割を果たしていると考えられるという。そのほかチームは、コーヒーの摂取で得られる健康効果は、複数の化合物が組み合わさることによってもたらされている可能性が最も高いとみている。

今回の研究はコーヒーに含まれる化合物と毒性タンパク質の相互作用を実験室で調査したものであり、今後はヒトの体内でも同様の結果が得られるかどうかを調べる必要があるという。研究チームは、コーヒーが治療薬になることが示されたわけではないことに注意が必要だと指摘している。

研究結果をまとめた論文の共著者は、「今回の研究の目的は、疫学的証拠を得ること、それをさらに精査し、コーヒーには実際に認知機能の低下を防ぐのに有益な化合物が含まれているのかどうかを明らかにすることだった」と説明。

さらに、「次のステップは、それらの化合物がどれだけの効果をもたらしているか、血流に入るのか、血液脳関門を通過することができるのかを調べることだ」と述べている。論文は、Frontiers in Neuroscienceに掲載された。

編集=木内涼子

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