「Food in the Anthropocene: the EAT–Lancet Commission on healthy diets from sustainable food systems(人類の時代における食料:食料と惑星、健康に関するEATランセット委員会)」と題されたレポートは、2019年1月16日付けで英医学誌『ランセット』に掲載された。そこで提案されている食生活は、温室効果ガスの排出を減らし、気候変動を阻止する効果があると研究チームは主張している。
ハンバーガーは週1回まで
レポートでは、「食料は、人間の健康と地球の環境持続可能性を最大限に高めるための唯一かつ最強の手段である。しかし、食料は現在、人間と地球の両方を脅かす存在となっている」と述べ、研究チームは、現在の世界的な食料システムを「抜本的に変える」よう呼びかけている。
研究者チームによって「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」と名付けられた食生活では、現在の地球全体における赤身肉消費量を半分に減らすよう提唱する。先進国の場合は80%削減すべきということで、アメリカなら、ハンバーガーを食べる頻度を週1回にしなければならない。
さらに、世界規模で、全粒穀物、豆類、果物、野菜を大量に含む食生活に切り替えるよう提案する。このレポートの作成を依頼したのは、スウェーデンのストックホルムを拠点にして、食料システムの転換を目指す非営利団体「EAT」だ。
プラネタリー・ヘルス・ダイエットでは、肉、魚、卵の消費を抑えるほか、砂糖や精製穀物、でんぷんを大幅に削減した食生活が推奨されている。
ノルウェーのオスロでは、レポートの公開を記念してイベントが開催された。レポート筆頭著者のひとりで、ハーバード大学公衆衛生大学院の栄養疫学教授、かつ同大医学大学院の教授でもあるウォルター・ウィレットはその場で、「人類は現在、環境という観点のみならず、健康とウェルビーイングの面でも、とてつもない危機に直面している」と述べた。
プラネタリー・ヘルス・ダイエットの目標は、人命を救うことだ。この食生活を選択すれば、世界で年間1100万人以上の人たちが、食生活に関連した病気で命を落とさずに済む、と研究チームは主張する。
しかし、根底にあるのは、温室効果ガスの排出量を減少させ、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」、ならびにパリ協定で示された目標を達成できる、持続可能な食料システムを推進することだ。