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I write about the future of books and the business of storytelling.

(Photo courtesy of Scribd)

米国本拠の電子書籍とオーディオブックのサブスクリプションサービス「Scribd」の月額有料会員数が、100万人を突破した。Scribdの共同創業者でCEOのTrip Adlerはプレスリリースで、「会員数の増加は今後も継続する見込みであり、メディア企業との戦略的パートナーシップも強固さを増している」と述べた。

Scribdが提供する月額8.99ドルのサブスクリプションサービスの会員数は、2018年に75万人を突破し、前年から50%の増加となっていた。100万タイトル以上の電子書籍やオーディオブックに加え、8000万件以上のCGM型のコンテンツを配信するScribdは、約1億人の月間ユニークビジター数を誇っている。

同社の成長を牽引したのは、近年のオーディオブックブームだ。オーディオブックの利用者数の伸びは2018年の一年間で100%以上に達している。

さらに、Scribdが月額会員数100万人を達成する上で追い風となったのが、他の大手パブリッシャーとのバンドリング(セット販売)だった。Scribdはニューヨーク・タイムズ(NYT)などの大手パブリッシャーと提携を結び、コンテンツを拡充させてきた。NYTのコンテンツを含むプレミアムサービスは月額12.99ドルで提供されている。

Scribdが昨年10月にNYTと提携を結んで以降、メディア業界では従来の広告によるマネタイズから、サブスクリプションへの移行が進行中だ。さらに、利用者がメディアの消費を特定のサブスクリプションサービスに集中させる傾向が高まる中で、Scribdがバンドリングに注力したのは、良い選択だったといえる。

ただし、バンドリングを成功させるためには、消費者にとって魅力的な組み合わせを提示する必要がある。音楽を聞く場合に、常にユーチューブで無料の音楽を楽しんでいるユーザーに、スポティファイとHuluのバンドリングサービスを提示しても、支持は得られないだろう。

そんな中で、売上減少に悩む出版業界と、脱広告モデルを目指すメディア企業を巻き込んだScribdの戦略は、理想的なサクセスストーリーの一つに数えられる。サブスクリプションで利用者に満足感を与えつつ、事業を継続させるのは至難の技ではあるが、バンドリングは、数少ない有効な選択肢の一つといえるかもしれない。

編集=上田裕資

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