──日本ではマーケティングは必ずしも強い部門とは言えず、男性のリーダーがいまだに多いですが、山口さんが日本で特に傑出した企業リーダーの一人になれたのはなぜでしょう?
それは努力のおかげでしょうか(笑)。女性であるために、特にテクノロジー企業では少数派のことも多かったのですが、私にはミッションがあります。テクノロジーの力、マーケティングの力、そして多様性の力を信じて、夢の実現のために懸命に努力しています。
一方で、結果も非常に重要です。結果を出せれば、人々は耳を傾けてくれる。でも、自分が全能ではないことも分かっています。鍵となるのは人のネットワーク。私はチームの一員として働くことで、他者の力を活用して自分の理念を実現することができています。
──マーケティングのリーダーとしての仕事で好きなところは?
マーケティングは会社の目や耳、口となる部門です。自社の考え方と市場の考え方をどちらも理解しているから、双方を代弁できる。私は最高経営責任者(CEO)と密接に協働し、当社の全機能を結ぶことで、パナソニックの理念である「A Better Life, A Better World(より良いくらし、より良い世界)」を実現したいと思っています。
──パナソニックにとってマーケティングはどれほど重要ですか?
とても重要です。ご存知の通り日本ではCMOの役割はまだ珍しく、パナソニックも長い間例外ではありませんでした。しかし、それもようやく変わり始め、顧客や顧客の行動も変化しています。
多くの企業が、良い商品やサービスを提供することだけではもはや足りないことに気づいています。理解を深め、コミュニケーションを強化し、そして何よりも顧客エンゲージメントを通して強力な顧客体験を創出しなければならない。パナソニックではいま、マーケティング部門の重要性はかつてなく増していています。
──パナソニック社内では、どのようにしてマーケティングの地位を確立したのでしょう?
私は、強いマーケティング機能を構築するために採用されました。これは、会社をより顧客重視かつアジャイル(俊敏)にし、最終的により大きな成功へと導くための変革戦略の一環です。私が入社したとき、マーケティング担当者は異なる部署に散らばっていましたし、多くの社員は、マーケティングが何をしてくれるのか理解は薄かったと思います。
マーケティング機能構築のため多くの施策を取りましたが、最も重要だったのはCEOら経営陣と緊密に連携し、戦略や指針をすり合わせたことです。今のチームは、自分たちがしなければいけないことを非常に明確に理解していて、マーケティングの力を発揮しようとしています。