専門家が今年注目する3種の酒 一つは消費量最多の「白酒」

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互いに補完し合う存在である食事と飲み物は、トレンドが一時的なものに終わりやすい点でも共通している。それでも、例えば地元産のワインや蒸留酒など、特にそのルーツが「テロワール」の伝統にあるお酒は、年月がたっても変わらない人気を維持するものだ。

そうしたお酒の中で、これから長く人気が続くことになりそうな「今年注目すべき3種類」を紹介する。

地元愛が支える「クラフトビール」

全米レストラン協会(NRA)が料理人を対象に実施している年次調査の結果によると、特定の年齢層での高い人気を背景に、今年も各地で生産されるクラフトビールの人気が続く見通しだ。

これらを手掛ける小規模な醸造所は、トレンドを柔軟に取り入れたり、試したりすることができる。それが新商品の開発を推し進めることになり、新たな顧客層を獲得することにもなる。

NRAの調査担当者は、「ミレニアル世代の消費者は、より高い品質と地元企業が進める持続可能性のための取り組みを重視する。この世代に特に人気があるのは、クラフトビールだ」と指摘。

「彼らはクラフトビールがどのように醸造されるのか、どのような原料が使われているのかといったことにも関心が高い」と述べている。

持続可能な「シングルモルト」

酒類の品質を競う競技会、インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)の審査員らによると、ウイスキーやその他のスピリッツの蒸留所も同様に、持続可能性に関する目標を掲げている。

その例として挙げられているのが、たるを再利用してサングラスやサーフボードを生産しているグレンモーレンジィ蒸留所などだ。

「グレンモーレンジィの活動が示すのは、同社の独創力と想像力だ。同社は持続可能性を重視することで、若い消費者を引き付けたいと考えている」

「業界全体において、多数のこうした取り組みが行われている。バカルディが使い捨てプラスチックの使用を中止したほか、シーバス・ブラザーズは蒸留の過程で使用する新たな熱回収システムを導入。スコットランドのスペイサイド地域には、景観と完璧に調和した素晴らしい設計のマッカラン蒸留所が完成した」

また、伝統的な生産国ではない韓国やイスラエル、ジョージア、インド、デンマーク、フィンランド、ミャンマー、オーストラリアでもウイスキーが生産されるようになっており、競争は激しさを増している。

魅力的な「白酒」

蒸留酒の中で、世界で最も販売量が多いのは中国の「白酒(パイチュウ)」だ(IWSCの専門家によると、中国の蒸留酒市場の99.6%を占める)。米国のワイン・エンスージアスト誌は昨年、白酒を次のように紹介した。

「口に合わないと言う人が多いことが、この蒸留酒を中国以外で販売するにあたっての最大のハードルの1つだ。テロワールの精神を重視する人は、欧米人が白酒をメスカルやアルマニャックのように興味深いものと思ってくれることを願うだろう。ただ、確立された味覚を変えることは容易ではない」

ただし、IWSCによれば、白酒は英国と米国で人気が高まり始めている。香りが特徴の白酒はカクテルに使用されるほか、そのまま少しずつ飲むことが多い(その場合には注意が必要だ。トウモロコシやキビが原料の白酒は、アルコール度数が120プルーフほどで、カスクストレングスのウイスキーとほぼ同じだ)。

編集 = 木内涼子

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