HRマネジメントの新潮流

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2016年8月、政府に「働き方改革実現会議」が設置され、働き方についてとても多くの議論がされるようになりました。

そこで掲げられた検討テーマはどれも重要だと思っている一方で、日本のHR領域のアップデートに取り組む身としては、仕組み的な改革とは別の側面も感じていて、以下のようなつぶやきを(2017年10月に)しました。



つまり、ここで言いたかったことは、表層的な仕組みだけを変えても充実した就業体験にはならないので、まずは根底にある働く個々人を尊重しませんか、ということです。社会全体で就業慣習が見直されていますが、法律を変えるのは政治だとしても、本質的な人と企業の関係性を変えるのは、ぼくたち自身です。

2018年を振り返ると様々なニュースがありましたが、特にパワハラやセクハラの話題が目立ちました。これらの問題は、人と組織に関する考え方(脳のOSと言ってもいい)がアップデートされていないから起こるのではないでしょうか。

理不尽なポジションパワーで人を押さえつけるのは、もはや当たり前に通用することではありません。トップや上司の言うことに無条件で服従する必要はありません。我慢は美徳ではありません。

経営者のみなさん、いまは「働く側が企業を選ぶ時代」だと、本当に思っていますか。思っているなら、これまでの慣習をどう変えますか。働いているみなさん、古い価値観のまま変わらないトップや上司に辟易としたなら、見切りをつけて会社を辞めることはできますか。



2018年2月に開催された「Yahoo!アカデミアカンファレンス」で「これからの人と企業の関係性」をテーマにセッションを開催。数あるテーマの中から「どれが重要なテーマか」が投票され、2位に選出された。多くのマネジメント層が関心を寄せている。

日本のHRマネジメントに根付く「終身雇用が招いた負の遺産」

では、これからの人と企業の関係性はどのようにアップデートすると良いのか、大きな方向性について考えてみます。まずは、日本の企業文化、組織文化がどのような構造になっているかを考察しましょう。型をやぶるのはかっこいいですが、そのためには、型を知らないといけません。

多くの日本企業では、企業側は「終身雇用」を提供し、それに対して、働く人たちは「限りなく会社のルールに従います」という価値を差し出すという考え方が、人と企業の関係性の基盤になっています。

この関係性は、戦後の高度成長期〜バブル期に確立されましたが、日本人というのは「滅私奉公」という言葉があるくらいですから(しかも美徳とされていた時代もある)、個人主義的な欧米と違い、当時は文化的にもしっくりきたのかもしれません。

しかしながら、バブルが弾けて経済成長が鈍化し、「失われたウン十年」と言われる時代になると、企業側が提供してきた「終身雇用」が不履行になるケースが出てきます。にも関わらず、「滅私奉公」的な文化は依然として色濃く残っていると感じます。

形骸化した年功序列制度や一方的なヒエラルキー構造、こういったものが「終身雇用が招いた負の遺産」となり「当たり前」になってしまったことが、冒頭で触れたパワハラやセクハラの根っこにあるのではないでしょうか。

文=佐野一機

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