熱狂から社会実装へ 冷静に見るブロックチェーンの今

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ブロックチェーンがもてはやされた大きな理由は、仮想通貨ブームに因ります。日本は世界で初めて仮想通貨法(情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案要綱)を2017年4月に施行し、イノベーション促進に向けて舵を切りました。

しかし、様々な事件や問題があり、2018年3月のG20では、仮想通貨は「暗号資産」と位置づけられ、厳しく言及されました。日本でも、2018年12月の報告書で、金融庁が仮想通貨を「暗号資産」へと呼称を変更することを発表しました。これは単なる名称変更ではなく、規制を厳しくすることの表れとみられています。

となると日本では暗号資産(仮想通貨)やICOのチャンスはあまり期待ができないかもしれません。これによりブロックチェーンも先行きが暗いという早計な論調も見受けられますが、これは勘違いで、ブロックチェーンは長期的に様々な可能性があることに変わりはありません。ガートナーのハイプ・サイクルでも、幻滅期を越えれば、技術の利点や用途が理解されるようになり啓蒙期から安定期へと進展していきます。

前出の山﨑教授は、「ブロックチェーンには長い目で取り組むべきで、短期でビジネスにしようとしても難しい。いまの実証実験を含む取り組みの多くでは、望んだような結果は出ないだろう」と語っています。

2017年10月のコラムに登場した、ブロックチェーン活用に取り組むスタートアップNayutaの栗元憲一社長は、次のように語っています。

「ブロックチェーンのハイプが終わっても、その技術の革新性は変わらない。これからも社会実装への挑戦は続くだろう。ハイプとは関係なく、技術を少しずつ進めてきた人々は世界中に存在し、一時期の熱狂が終わって雑音が減り、集中しやすい環境になったとも言える」

ハイプに踊らされることなく、ビジョンや仮説を描きながら、粛々とブロックチェーンに取り組むのが得策だということです。

連載:ドクター本荘の「垣根を超える力」
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文=本荘修二

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