今回の工場建設を控え、テスラは広さ86万平方メートルに及ぶ土地の使用権を昨年、1億4000万ドル(約160億円)で取得していた。同社はこの工場でモデル3と、新型車両のモデルYを製造し、中国政府が輸入車に課す高い関税を回避しようとしている。
マスクは工場建設の初期工程が、2019年の半ばにも完了するとツイートで述べた。「モデル3の中国における製造は年内に始動し、来年には十分な台数を確保する」と彼は宣言した。「モデル3及びYの製造を、北米ではなく中国で行うことで、現地の消費者に求めやすい価格で提供していく」
テスラは2018年7月に上海の政府当局と合意し、年間で最大50万台を製造可能な工場の建設に、少なくとも20億ドル(約2180億円)を注ぐと述べた。中国政府は大気汚染問題の解決に向け、EV(電気自動車)の導入を促進しており、この分野で世界最大の市場となっている。
同社が低価格帯のEVの販売を中国で開始すれば、米国での販売台数を超えることも予想できる。このニュースを受けてテスラの株価は7日の市場で5.4%上昇し、前日比17.27ドル高の334.96ドルで取引を終えた。
自動車業界では、新規の工場の建設から製造開始までに、通常は約2年がかかる。しかし、テスラは昨年、モデル3の製造スピードを劇的に向上させた経験をもとに、上海ギガファクトリーの建設を「目覚ましい速度で進める」と述べている。同社は米国で2018年の初頭から、週あたり5000台の製造を目指して奮闘し、7月にそのゴールを達成していた。
テスラ先週、今年の3月までに中国市場向けに、モデル3の納車を開始すると発表した。しかし、米国で製造されたこれらの車両は関税の影響で7万ドルもの高値となっている。同一の車両の米国での基本価格は4万4000ドルだ。
中国と米国で「年間100万台」の生産を目指す
上海工場でテスラはまず、週あたり3000台のモデル3の製造を目指している。工場がフル稼働すれば、年間50万台を製造可能で、カリフォルニア州の工場との合計で、年間100万台の生産を実現することになる。
しかし、テスラの2018年の製造台数は25万台をやや下回る水準であり、同社はフリーモントの工場や、ネバダ州スパークスのギガファクトリーの生産工程の合理化を進めている最中だ。
今回の上海工場の起工式には、上海市長のYing Yongや中国政府の要人らも招かれた。
「中国はEV分野で世界のリーダーになろうとしている。中国はテスラにとって大切な市場であるだけでなく、再生可能エネルギーの利用を推進する上で非常に重要な役割を担っている」とマスクは声明で述べた。