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HiCustomer 鈴木大貴

海外企業が圧倒的な存在感を誇る中で、国産SaaS企業はどのように勝負していくべきなのか。後編では「カスタマーサクセス」の方法について語り合った。

対談メンバーは媒体連動型採用管理システム「HERP」を手がけるHERPの庄田一郎と、次世代型の電子薬歴システム「Musubi」を手がけるカケハシの中尾豊。

モデレーターは、カスタマーサクセス管理ツール「HiCustomer」を手がけるHiCustomerの鈴木大貴が務めた。(前編はこちら

求めているのは、ホスピタリティのある人物

鈴木:SaaSの強みは継続的な改善によってプロダクトの価値を高め続けることができることにあります。そして、SaaSの売上はお客様の利用継続によって段階的に発生するため「お客様が感じる価値」と「自社の成長」のベクトルが一致します。

SaaSを長期的に活用し続けてもらうためには、プロダクトの定着を支援し、利用促進の状態を作り上げる「カスタマーサクセス」と呼ばれる役割が必須となります。

では、そんなカスタマーサクセスに向いているのはどんな人なのでしょうか。皆さんはどんな人材に入社してほしいですか?

庄田:HERPのユーザーである企業の採用担当者がそのままジョインしてくれるのが理想ですね(笑)。彼らがユーザーの考え方を最もよく把握していますからね。

とはいえ、それは難しいので、ホスピタリティと仕組み化の能力をもった人に来てほしいと考えています。カスタマーサクセスに向いているのはホスピタリティがある人、つまりはいろんなことを気にかける人ですね。「いま提供している価値で十分なのか」を常に考え続けられる人が良いと思います。

仕組み化が大切なのは、例えばホスピタリティ抜群のマザー・テレサのような人ばかりでは組織が機能しないからです。ホスピタリティ面での気づきを社内に共有して、誰でも同品質で対応ができる仕組みに落とし込むオペレーション力も大切です。

中尾:僕は倫理観と問題解決能力が大事だと思っています。なるべく患者さんの健康に貢献できるようサービスのユーザーに提案すると、その薬局毎に文化やオペレーションを再定義する必要性が出てきます。この問題を解決できる力をもっているかどうか。


KAKEHASHI 中尾豊

業界知識は後からついてくるので、面接では必ず「これまで困った時にどんなアプローチをしましたか?」ということを具体的な事例ベースで聞いています。

庄田:逆に鈴木さんはどうですか?

鈴木:業界特化のサービスなのか業界問わず使えるサービスかという横軸と、単価の高低という縦軸の4象限で分類できると思っています。まず、専門的かつ高めの価格設定だと業界の求める高度な課題解決力を求められるので、業界関係者を採用するのが重要ですね。

次に専門性も単価も低い場合、カスタマーサクセスに関する知識は後からキャッチアップできれば良いので、まずは問題解決能力やコミュニケーション能力が必要。これは専門性・単価の両方が低い場合も同じですね。

一方、専門性に特化せずに単価が高いプロダクトは、ドメインの知識よりもお客様とのセッション能力や論理的な課題解決能力が求められるようになる。コンサルやSEに近い人材が向いているのではないでしょうか。

細かく分けましたが、HiCustomerにはお客様を愛し愛されるパーソナリティと、地頭の良さを兼ね備えた方に来てほしいですね。

SaaSを成長させるのは、「Loveのユーザー」

鈴木:プロダクトの開発やマネジメントで工夫されている点はありますか? ユーザーの声を反映するために工夫していることなどあれば、教えてください。

中尾:アジャイルに開発することですね。ユーザーの声は常に営業を通して開発にも伝えていますが、それでも手をつけるべき順番を決めるのは簡単ではありません。顧客によって店舗数も目指しているものも違います。

店舗数が多い顧客の意見を重要視すればいいわけではなく、小さな顧客の方が本質的なことを言っていることもあります。ですから、定量的評価にこだわらず、常にサービスのあるべき姿が何なのかをコミュニケーションしながら開発しています。

鈴木:一口に薬局といっても、顧客の状況も違いますからね。庄田さんはいかがでしょうか?

庄田:KPIの設定は難しいですよね。大切なのは一人ひとりのメンバーがユーザーと向き合いながら取り組む姿勢だと思います。

HERPには、社員全員とそれぞれのお客様が入っているスラックの共有チャンネルが、25個くらいある。そこでユーザーにサービス改善内容を週次でお伝えしたり、改善要望をいただいたりしています。

文=野口直樹 写真=小田駿一

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