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デザインリサーチャー 木原共

Forbes JAPANでは、次世代を担う30歳未満のイノベーターにインタビューを行う「NEXT UNDER30」をスタート。2018年8月に、Forbes JAPANが開催した「30 UNDER 30」特集。その際に取り上げきれなかった若手イノベーターたちを継続的に取り上げていく。

2017年3月、SNS「Medium」でひとつの記事が大きな話題となった。その記事のタイトルは『「物乞い」の行為をデザインする』というもの。

世界各地で問題になっている、物乞い問題。路上で暮らす物乞いの彼らは、一般的に「お金が足りていない人」だと認識される。それは正しいのだが、一方で、物乞いをする彼らがお金以上に欲するものがある。それは「人としての尊厳」だ。物乞いの行為は自己肯定感を著しく低下させ、金銭面の問題以上に社会復帰を困難にさせる。

ストリートディベートとは、路上で問題提起をし、硬貨による投票で世論を可視化する手段。ストリートディベーターである路上生活者は通行人と同じ立場で対話をし、尊厳を失わずにお金を稼げるのだ。

ストリートディベートを発案したのは、デザインリサーチャーの木原共。彼はオランダのデルフト工科大学院・インタラクションデザイン研究科を卒業し、現在はアムステルダムを拠点にデザインリサーチャーとして活動している。

ストリートディベートの元になった考えだと彼が語る、世界を変える「行為と言葉のデザイン」への真意を伺った。

デザインリサーチャーとしての活動

──木原さんが現在されていることを教えてください。

今はオランダ・アムステルダムを拠点とする公的な研究機関「Waag(ワーグ)」に所属しています。Waagはオランダ政府や欧州委員会からの出資の元、市民と先端テクノロジーを結びつけて社会変革を生み出すプロジェクトを手がける組織です。

Waagにデザインリサーチャーとして所属しているのに加えて、ストリートディベート等のプロジェクトを個人で進めています。


WaagのOpen wetlabではバイオテクノロジーを使った新しいデザインの試みが行われている

──「デザインリサーチャー」とは何でしょうか?

デザインリサーチャーは企業や社会が抱える問題について、インタビューなどの質的調査を通して理解を深め、その問題の解決を目指した施策をゼロから作る職業です。

多くの場合、まだ存在しないプロダクトをつくるために、ユーザーへ聞き込みをして、試作品をつくり「これは本当に状況を良くするのか?」と仮説検証するプロセスを繰り返します。ストリートディベートも、聞き込みから始まるデザインリサーチの過程を経て生まれたプロジェクトですね。

遊びを通した社会問題への介入

──ストリートディベートを発案するに至った原体験をお聞きしたいです。

私は、ストリートディベートは社会のルールを書き換えるゲームのようなものだと捉えています。

──ゲーム?

私は小さい頃からとにかくゲームが好きだったんですが、家庭の方針でテレビゲームが遊べなかったので、まずはボードゲームにハマりました。中学生の時には隣町でやっていたボードゲームのオフ会に行ったり、自分で簡単なゲームを作ったりしていました。

今思うと、子供の頃からボードゲームなどで特定のルールのもと、人の行動が変わることに興味があったんだと思います。デルフト工科大学院では、遊びを通して社会問題に介入するプレイフル・インターベンション(playful intervention)の研究をしていました。

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