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Deputy editor for Industry; eyes on the skies

建設予定のアップル第2本社 オースティン(Photo by Drew Anthony Smith/Getty Images)

テキサス州のオースティンはここ10年で巨大な経済発展を遂げてきた。しかし、アップルにとってこの都市は、カリフォルニア州と比べれば比較的ローコストで事業が運営できる土地になりそうだ。

アップルは先日、10億ドル(約1130億円)を投じて、オースティンに広さ約54万平方メートルの、巨大キャンパスを建設するとアナウンスした。現地では既に6200名の社員が働いており、クパチーノ本社に次ぐ規模だが、新社屋で新たに5000名を雇用する計画だ。最大で15000名が働くこのオフィスの開設で、アップルはオースティン最大の民間企業となる。

テック業界では人材獲得戦線が加熱しているが、オースティンでのテック人材の平均年間サラリーは9万5000ドルで、サンフランシスコの12万5400ドル(約1400万円)と比べるとかなり安い。また、アマゾンが第2本社を建設するニューヨークでも、テック業界の年間平均給与は11万2600ドルとなっている。

オースティンには他にも多くのテック企業が進出しており、グーグルやフェイスブックも拠点を置いている。ただし、オースティンのテック業界で働く雇用者数は米国で21位の6万9600名にとどまっている。一方で、サンフランシスコのベイエリアでは約33万人がテック業界で働いている。

ただし、オースティンは近年、住環境の良さで、カリフォルニア州を含む他の州から移住者を引き寄せており、アップルはここでの人材獲得に不安を抱いていないようだ。

「オースティンではカリフォルニア州ほど労働組合の活動も盛んではなく、アップルは効率的な事業運営が行える」と現地のアナリストは述べている。

オースティンにおける建設コストは、米国の30都市平均を19%下回るとされている。一方で、サンフランシスコでの建設コストは、オースティンを56.9%上回っている。

調査企業CBREのデータでは、オースティンでのオフィス賃貸費用は過去5年で28.6%上昇し、7000平方メートルあたり300万ドルとされている。しかし、ベイエリアの場合は同じ面積で500万ドルだ。

さらにコスト的メリットだけでなく、アップルはテキサス州に拠点を構えることで、米国の議会との関係を強化できる。テキサス州はカリフォルニア州に次いで多くの議員を米国議会に送り込んでいる。

「テック業界では、独占禁止法などの様々な法規制が事業の妨げになる。政府との関係を良好に保つことは非常に重要だ」とアナリストは述べている。

アップルはオースティン以外にも、シアトルやサンディエゴ、カリフォルニア州のカルバーシティにも新社屋を建設予定で、各地で1000名を雇用する計画だ。

編集=上田裕資

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