人目につかない流通業のバックエンドを支える技術が、今どのように発展を遂げようとしているのか。個人的にも深い興味を抱いてきた領域だが、今回、インド発の物流ロボットシステムメーカー・GreyOrangeのアジア太平洋・日本CEOを務めるナリン・アドバニ氏に興味深い話を伺うことができた。
GreyOrangeの「バトラー・システム」は、バトラー(搬送ロボット)、リニア・ソーター(高速包装ロボット)、ピックパル(ピッキングロボット)など各種ロボットと、それらの稼働を最適化するAIソフトウェア「グレイマター」からなる倉庫業務に特化した自動化ソリューションだ。日本では、ニトリの物流子会社が同システムを採用したことでも話題となった。
ここ数年、アマゾンや中国大手EC企業がロボティクスやAI技術を取り入れた倉庫業務の革新に注力しているが、GreyOrangeのバトラー・システムは有力な対抗馬として世界各国にセールスを拡大している。
「倉庫業務の自動化と言えばロボットの存在に目が向きがちですが、私たちはそのロボットのオペレーション機能を司る、人工知能などソフトウェアやアルゴリズムの開発に力を注いできた企業です」
アドバニ氏は、ディープラーニングなどの技術をベースにしたグレイマターは、「実機ベースで500台以上のロボットを同時に稼働させることができる」と説明する。
従来の製品はせいぜい数十台がだったので、500台という数字だけでも驚きなのだが、あくまで「実際にそれ以上稼働させられるサイズの倉庫が現状ない」だけで、仮想ロボットを使ったシミュレーションでは、すでに数千台を稼働させることに成功しているのだそうだ。
数百台、もしくは数千台のロボットが、人工知能のオペレーションによって、衝突することもなく、人間の作業を支援したり、自ら作業をこなす。想像すると、SF映画にでてくる倉庫がもはやそこに存在しているようにも思えてくる。