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2018.12.31 16:00

世界で注目を集めるベルリン在住アーティスト「塩田千春」とは

《どこかにいる私》2018年 (c)Chiharu Shiota/Blain|Southern London/Peter Mallet

《どこかにいる私》2018年 (c)Chiharu Shiota/Blain|Southern London/Peter Mallet

欧米と比較すると、日本のアートシーンはまだ引けをとっているかもしれない。しかし、日本を飛び出し、海外で活躍をするアーティストも増えてきた。

起業家、コレクターとして活躍するユリ・ユリーカ・ヤスダが、NYで活躍するミカ・タジマに続き、ベルリンを拠点に活動をする塩田千春に話を聞いた。


──大学卒業後、1996年に渡独、現地でご結婚され、現在もドイツに住む塩田さんは、多くのことをドイツで吸収されたのかと思います。日本の伝統が、自身の作品に影響を与えていることはあると思いますか?

日本の伝統から影響を受けて作品を作ったことはありませんが、日本で育ったことは、私のあり方や考え方に影響を与えたと思います。

例えば、輪廻などの仏教の概念は、海外で育っていれば学ぶことは難しいのではないでしょうか。こうした概念は、私の作品に直接影響を与えています。

──作品のインスピレーションは、どう得ているのですか?

旅の移動中にインスピレーションが湧いてくることが多いです。移動時間は、限られた時間であり、また自由な時間でもある。飛行機の中では外を眺めながら、思考を止めずに考え続けています。 考えるのは、あらゆるテーマについてです。

私の個人的な経験や、感情から始まることが多いですが、いつかそれが宇宙へとつながります。こういった時間から、作りたい作品のアイデアが生まれます。

──塩田さんの作品は、主に黒、赤、白が用いられている印象です。色彩はどのように使い分けていますか?

黒は、文字や絵を描くときに最も用いられる色ですし、空間に絵を描く気持ちで始めました。また、夜空のように普遍的で、すべてを包括する宇宙を表してくれます。
赤は血液、人体を象徴して、人のつながりを表現できる色だと思っています。

白は新しい始まりと終わりのように、純粋な色です。空白であり、そこに時間は存在しません。日本では人が埋葬される時に白い服を着る慣習から、強く死に結びつく色です。しかし私は死を終わりではなく、新しい始まりだと考えています。
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文=Yuri Yureeka Yasuda 構成=フォーブスジャパン編集部

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