「ワインに比べたら安い」というのが世間の評価だった。ところが、ここ数年で高価格帯の日本酒や海外市場での価値を見出した商品が登場し、話題を集めている。
日本酒業界初の入札形式を採用
黒龍酒造「黒龍 無二」1本およそ10万円~20万円(問い合わせ:0776-61-6110)
2018年6月、「石田屋」「二左衛門」などを醸す黒龍酒造が、新ブランド「無二」シリーズの展開に際し、日本酒業界初となる入札会を開催。特約店から66人のバイヤーが参加した。
従来はメーカーによる小売価格の設定が通例。実際の販売に関わる酒販店に値付けを委ねることで、日本酒の適性価格を市場に問いかけた。
また、有名料亭の総料理長やソムリエらによる品質評価委員会が組織され、第三者の目線で酒質を評価。「無二」は、2012~2015 醸造年度の純米大吟醸原酒を、ヴィンテージごとに-2度で氷温貯蔵熟成させたもの。
いずれも兵庫県東条産山田錦を35%まで磨く。本漆塗木箱入りで販売価格帯は、10万円前後~20万円。4本セットは60万円で販売されているケースも。
創業300周年を記念した佐藤可士和デザイン
青木酒造 創業三百周年記念酒「鶴齢 純米大吟醸 特別版 鶴首 (袋取り)」720ml 17万円(問い合わせ:青木酒造 025-782-0012)
2017年10月1日、新潟県の青木酒造が創業300周年を記念して3種類の「鶴齢 純米大吟醸」を発売した。内訳は「特別版 鶴首」17万円が100本、「特別版 雪玉」10万円が200本、「通常版」3万円が300本。
新潟県産の越淡麗を使用した30%精米の純米大吟醸で、2007年から10年の歳月をかけて、マイナス5度の環境下で熟成させている。中でも「特別版 鶴首」は、袋取りと呼ばれる特別な方法で搾られている。雑味なく澄み切った味わいと柔らかい飲み口が特徴だ。
ボトルデザインは、クリエイティブディレクターの佐藤可士和が担当。自身の手によって一本一本絵付けされた有田焼のボトルは、それぞれが異なる表情を持つ。酒瓶というよりオブジェの佇まいだ。写真集付き。発売するや蔵元完売状態になったが、百貨店や酒販店にわずかには残っている。