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自分自身の育て方

turgaygundogdu / shutterstock

この連載コラムの初回で「『やりたいことが見つからない』は正しい 」と書いたところ、大変な反響をいただいた。大半は「よくぞ言ってくれた」という反応だったのだが、それだけ「目標を決められない」ことに対する焦燥を感じる人が多いということだろう。

第2回のコラムでは、不安を解消する第一歩として「自分の気持ちに素直になるトレーニング」を勧めたわけだが、今回はさらに思考を深め、「では、目標はどのように定めたらいいのか?」というテーマについて話していきたいと思う。
 
目標設定の手法としてよく聞かれるアドバイスの一つが、「目の前のことに集中しなさい」というもの。「目の前のことをコツコツとやっていったら、いずれ方向性が定まってくる」と。

確かにそうなのだが、それは成功者が結果から過去を振り返るから言えることであって、「先々の目標を決められない」という若者の不安を根本から解消することにはならないかもしれない。では、どう考えたらいいのか。私が勧めたい視点の持ち方は三つある。

まず、“過去の自分研究”に集中してみること。

まだ経験していない未来について決めることは、誰にとってもストレスであり、難題に違いない。例えば、「今日の夜とびきり美味しいものを食べよう。一番食べたいものを決めておいてね。この食事会は一度限りだからね」と言われたら、すごく悩んでしまわないだろうか。

食べたことのない料理も含めて無限にある選択肢の中から“一番食べたいもの”を決めるなんて、プレッシャー以外の何者でもないし、しかもチャンスは一度きりとなれば、考え過ぎて食べたくないものまで選んでしまいそうだ。

では、こう問われたらどうだろう。「この1週間で食べたものの中で一番美味しかったものは?」と。こうなると格段に考えやすくなる。すでに食べたことがある有限の選択肢から選べばいいだけ。当たり前だが、人は“経験したことがあるもの”に対しては比較検討しやすいものなのだ。反対に“未経験のもの”への思考は疲れてしまうという傾向があると言われている。

つまり、同じようにキャリアについても「これから何をしたいですか?」という未来への志向を問われるよりも、「今までやってきた仕事の中で一番面白かったこと、もう1回チャレンジしてみたいことは?」と問われる方が、明確に答えやすいのではないだろうか。“過去研究”の答えから、なんとなく、自分がどういう時にモチベーションを感じるのかという傾向も見えてくることだってある。

文=中竹竜二 構成=宮本恵理子

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