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2018.11.15 08:00

ネットフリックス幹部が明かす「この5年で得た学び」


──サランドスさんが考える「良いクリエイターの条件」は何でしょうか?

いくつかポイントがあります。面白いストーリーを持っており、ユニークな個性がある。そしてみんなが一緒に時間を過ごしたいと思う人間性。この3つを兼ね備えていることが大切です。

常に好奇心を持て。自分の中に正解があると思ってはいけない

──オンラインストリーミングサービスの有料メンバーは若年層が多いと思います。今後、より高めの年齢層へアプローチするために考えていることはありますか?

何より重要なのはコンテンツのラインナップを増やすことです。ユーザーが観たいと思う作品を提供し続けていき、その中でさまざまな調整を行っていこうと思います。

おっしゃる通り、オンラインストリーミングサービスの利用率は若年層の方が高いです。しかし、それは10年前のアメリカも同じ状況でした。


(sitthiphong / Shutterstock.com)

10年前、アメリカでもオンラインストリーミングサービスを使うのは若年層がメインでしたが、今は違います。オンラインストリーミングサービスが少しずつ普及していったことで、幅広い世代が使っています。アジアもいまは若年層がメインですが、きっと時間の流れとともに変わっていくでしょう。

──蜷川実花が監督を務める『Followers』や園子温が監督を務める『愛なき森で叫べ』など、日本のドラマにも注力されていますが、今後の展開をどのように考えているのでしょうか?

日本のドラマは私たちも強い興味を引き続き持っていますし、私自身これから観られる日本初のオリジナル実写コンテンツが待ちきれません。今後、積極的に進めていければと思っています。

ただし制作にあたっては、きちんとしたストーリーを発見する必要がありますし、そのストーリーに対して、どれだけのユーザーが興味を持つのか。そういったことも考えなければなりません。



今年8月に配信を開始した『宇宙を駆けるよだか』は日本、それ以外の国でも非常に評判が良かったです。ストーリー性が優れていただけでなく、一流のクリエイターと共に製作、非常に高いクオリティの作品に仕上がったからこそです。

今後は視聴者のニーズを的確に汲み取りながら、地元の優秀な制作陣とともに、世界中で見ていただける日本の実写作品も幅広く展開していければ、と思っています。

──今回発表されたアニメコンテンツの中で『オルタード・カーボン』が印象的だったのですが、今後は自社コンテンツのフランチャイズ化に注力していくのでしょうか?

自社コンテンツのフランチャイズ化も、コンテンツのラインアップを増やす方法のひとつだと考えています。ただし、何でもフランチャイズ化すればいいというわけでない。展開の方法は、きちんと考えていかなければいけないと思っています。


「モーグリ: ジャングルの伝説」場面写真(ネットフリックス提供)。

──またネットフリックスはワーナー・ブラザーズから配給権を獲得した『モーグリ: ジャングルの伝説』など、ライセンス契約によってメジャータイトルを配信できるのも強みだと思います。なぜ、ネットフリックスは世界中のスタジオやコンテンツプロバイダとライセンス契約を結べるのでしょうか?

「常にユーザーに対して、素晴らしいコンテンツを提供し続ける」という考えに共鳴してくれているからだと思います。

私たちはユーザーに豊富なラインナップを提供し、その中から自分の趣味・嗜好に合った作品を見つけてほしいと思っています。そのための手段としてオリジナルタイトルもあれば、メジャータイトルをライセンス契約して配信すること行っています。世界中のメンバーの方々ひとりひとりが、観たいと思ってもらえる作品を提供したい。

その考えを持っているからこそ、世界中のスタジオ、コンテンツプロバイダと仕事ができているのです。

──サランドスさんは「CCO」として世界で最も成功されている、という評判もありますけれど、CCOの仕事を通して、どのようなことを学ばれましたか?

まだまだ成功したとは全然思っていませんよ(笑)。CCOの仕事は、良好な関係性を築けるクリエイターを選び、信頼している社内のチームに仕事を割り振ることだと思っています。

そうした仕事を通して、私が学んだことは常に好奇心を持ちながら、世界中を旅すること。そして、自分の中に正解があると思ってはいけないということです。
 

(ネットフリックス提供)

例えば、こんなことがありました。イギリスでは全くヒットしなかった作品をネットフリックスで配信してみたところ、3年間も続くヒット作になった。このことから、自分の中に正解があると思うのではなく、常に好奇心を持ちながら、さまざまな物事を見ていく。これはとても重要なことなのだと思いました。

いつまでも好奇心を忘れず、一緒に働きたいクリエイターと共に、面白い作品を皆さんにお届けしたいと思っています。

写真=小田駿一

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