1億ドルの資金を運用する「トヨタAIベンチャーズ(Toyota AI Ventures)」は、自動運転技術やビッグデータ、ロボット領域のスタートアップに投資をしている。同社の出資先の「May Mobility」は、大学キャンパスやオフィス街向けの自動運転シャトルバスを開発している。
また、他の出資先には「Nauto」(不注意運転による事故を防ぐための共有データプラットフォームを構築)や、「SLAMcore」(スマートテック向けにビジュアルトラッキングとマッピングのアルゴリズムを構築)、「Intuition Robotics」(高齢者向けにソーシャルコンパニオン技術を開発)、「Boxbot」(デリバリー用自動運転ロボットを開発)などが含まれる。
トヨタは2020年までに、自動運転技術やAIに10億ドルを投資する予定だ。また、マシン向け人間行動予測ソフトウェアを手掛ける「Perceptive Automata」などへの出資を通じ、自動運転車に人間的な直感を働かせるテクノロジーを備えようとしている。
トヨタの自動運転技術を搭載したEVコンセプトカー「Concept-愛i」は、同社の理念である「Learn(人を理解する技術)」「Protect(安全・安心)」「Inspire(新しいFun to Drive)」を具現化したものだ。
搭載されているAI「Yui」は、ドライバーの会話やSNSの投稿、行動スケジュール、顔の表情、運転のクセなどからドライバーについて学習し、眠気やストレスの高まりを検知する。そして、ドライバーの気分に合わせて照明や音楽、座席を調節してくれる。
トヨタは、他にも車いすの利用者や障害者向けのモビリティ「Concept-愛i RIDE」と、セグウェイに似た歩道向け3輪EVスクーター「Concept-愛i WALK」を発表している。さらに、ジャパンタクシーと組んでAIを使ったタクシー配車システムをテスト中だ。
ディープラーニング技術の発展やSNSに投稿される膨大な画像の学習を通じ、マシンは人間のように「見る」ことができるようになった。トヨタの「HSR(Human Support Robot)」アルゴリズムによって、ロボットは世の中のことを理解し、人々の暮らしを劇的に改善することが可能になった。
人型ロボット「T-HR3」も開発
同社が発表した第3世代のヒューマノイドロボット「T-HR3」は、マスター操縦システムによって人間の支援を行うことができる。
トヨタは、物流拠点内にもAIやオートメーションを導入しようとしている。同社が目指すのは、トラックやリフター、ローダーが相互にコミュニケーションを取ることにより、エネルギー消費を最小限に抑え、遅延をなくし、無駄を排除することだ。
第4次産業革命が進展する中、AIやビッグデータ、ロボティクスを駆使して革命を起こし続けるトヨタの動きに注目していきたい。