投資に対して最大の利益が得られるのは、小規模であまり名前が知られていない大学であることがしばしばある。借金をすることなく学士号が取得できればなおさらいい。
優れた大学は、ローンを組まなくても卒業できるよう、気前よく学資を援助してくれるだけではなく、費用対効果も高い。奨学金という借金を背負わせる大学を卒業した場合と比べた場合、長い目で見れば、より多くの所得を手にする可能性もある。
給与情報サイト「ペイスケール(PayScale)」が実施した最新調査ではキャリアの半ばで十万ドル以上を稼いでいる卒業生が多い大学トップ10には、お決まりの大学が名を連ねた。MIT(マサチューセッツ工科大学)、スタンフォード大学、カリフォルニア工科大学、ハーバード大学、プリンストン大学だ。
しかしこの調査からは、ひとつの真実が浮かび上がってくる。それは、「大金を稼ぐのにアイビーリーグや一流大学に行く必要はない」ということだ。1位に輝いたのは、ハーヴェイ・マッド大学(Harvey Mudd College)という、カリフォルニア州にある大変評判のいい工科大学なのだ。
ハーヴェイ・マッドの名前を聞いたことがないのだとしたら残念なことだ。ペイスケールによると、同大学の卒業生は、キャリアの半ばで平均15万7400ドル(約1775万円)を稼いでいるという。
たしかに、ランキング2位のMIT(あるいは大半の一流大学)を卒業した場合も、キャリア半ばで平均15万ドル(約1690万円)と、十分な収入が得られる。しかし、アイビーリーグのような華やかさがないほかの大学も、検討の対象とすべきだろう。
ハーバード大学と同じく6位につけたのが、ニューヨーク州のオールバニー・カレッジ・オブ・ヘルス・サイエンシズで、キャリア半ばの平均年収は14万2000ドル(約1600万円)となっている。
士官学校も忘れてはいけない。お手頃さではやはり一番で、入学できれば授業料が無料なうえに、仕事も保障される。米海軍兵学校と陸軍士官学校(通称:ウェストポイント)もトップ10入りを果たしており(前者は3位、後者は8位)、平均収入は、ハーバード大学やプリンストン大学を卒業した場合の見込み額に近い。
だから、選択肢は広げておこう。小規模なリベラル・アーツ・カレッジ(全寮制少人数教育を特徴とする四年制大学)や、獲得できそうな奨学金プログラムのある州立大学、潤沢な基金のある私立大学についても検討しよう。
知名度や評判を気にせず、自分に適した学問は何か、最高の価値があるのはどの大学かを考えよう。自宅から通える学校やコミュニティ・カレッジを排除してはいけない。学費に上乗せされる年間1万ドル(約112万円)もの部屋代と食費を払わずに済めば、かなり安上がりになる。
大学は、将来のための投資であって、自慢のタネにするために行く場所ではない。高給がもらえる仕事につけず、奨学金という借金で首が回らなくなってしまう可能性を考えればなおさらだ。