チームはまず、11~17歳の870人を集め、物質的なモノに対する考え方と、周囲の人や物事に対する感謝の気持ちについて質問した。その結果、前者と後者の間には関連性があることが分かった。感謝の気持ちをより強く持つ子供の方が、物質主義的ではない傾向がみられたという。
次にチームは、感謝の気持ちを育てることが、物質主義的な考え方に影響を及ぼすのかどうかについて調べた。参加者60人を半数ずつのグループに分け、2週間にわたって毎日、一方には「その日感謝の気持ちを持てた人や事柄」について、もう一方には「その日に何をしたか」について記録してもらった。参加者たちには日記をつける期間の前後にも、感謝の気落ちやモノに関する以前と同様の質問に答えてもらった。
そして最後に、参加者全員に1ドル紙幣10枚を手渡し、自分のものとして取っておいても、慈善団体に寄付してもいいと伝え、1人になって使い道を考えてもらった。その結果は、グループごとに、大きく異なるものとなった。
感謝できたことに関する日記をつけていた子供たちは、2週間のうちに物事に対してより大きな感謝の気持ちを持つようになっていた。そして同時に、物質主義的なもの見方をすることが大幅に減少していた。
さらに、このグループの子供たちには、寛大さの面でも変化がみられた。寄付するとした金額は10ドルのうち、平均およそ7ドルだった。コントロールグループの子供たちが寄付すると答えたのは、平均4ドルだ。
親子で日記をつける習慣を
研究者の一人は、若い消費者の物質主義的な考え方を和らげることは可能であることが分かったと述べている。さらに、物質主義がもたらす最も一般的な影響の一つである「不寛容」についても、「日常生活において、人や物事に対する感謝の気持ちを育てる」という簡単な方法によって、解消することが可能だと指摘する。
「親子で毎日一緒に、5分をかけて日記をつけるようにしてはどうだろう。感謝の気持ちを持てた誰か一人、または一つのことを書き出すだけなら、1~2分で終わるだろう」
そうすることが、親にとっても子供たちにとっても、地に足を付けておくことの助けになるという。感謝の気持ちを持つことは、私たちの全般的な健康と幸福、社会的つながりの強化、うつ病のリスクの低下などにつながる。子供がいる人でもいない人でも、そうした気持ちを持つ習慣を身に付けることは、恐らく非常に健康的なことだ。