「感謝の気持ちと物質主義の間には、強い逆相関関係がある」との研究結果を発表したイリノイ大学シカゴ校の研究者らよれば、「物質主義は何世代にもわたって広がり続けおり、“GenMe”(ジェン・ミー、「私」の世代)としても知られるミレニアル世代の間には、過去に例をみないほど広く浸透している」という。
「The Journal of Positive Psychology(ジャーナル・オブ・ポジティブ・サイコロジー)」に掲載されたこの論文は、「若者たちの間に広がる物質主義は、懸念すべきものだ。物質の所有物に対する欲求が高まれば、内発的動機づけが減少し、学校の成績が低下するからだ」と指摘している。
さらに、影響が及ぶのは学校に関わることだけではない。物質主義は実際に、感情の機能全体に悪影響を与え、精神衛生上の問題に関するリスクを高めることが確認されている。
「若い消費者を対象とした膨大な量の広告が生み出したのが、史上最も物質主義的な世代だ。それらは若者たちの健全な成長と感情面での健康と幸福を脅かしている」
「この世代が持つ物質主義的な思考が、不安やうつ、アルコールや違法薬物などの依存性がある物質の乱用、自己中心的な態度や行動をはじめとする精神衛生上の問題につながっていることは確かだ」
こうしたことから、子供たちが物質主義に走ることに何らかの対策を講じることは、非常に価値のある試みだと考えられる。
有効な対策は─?
広告に接することを制限するのが効果的であることは、すでに確認されている。だが、それはあまり有益な方法ではない。広告がなくなることはあり得ないためだ。いかに広告への“免疫”を付けさせるかについて検討する方が現実的だ。
そこで研究チームは、これまで主に成人を対象に行われてきた実験を行ってみることにした。感謝の気持ちに注意を向けるよう促すことが、物質主義に対する効果的な“ワクチン”になるかどうかを試してみることにしたのだ。