彼女は、「これは私の夢の仕事ではないけれども、教育として考えなければならない。履歴書に書けるものを与えてくれた仕事だ」と言った。テリーは、オハイオ州で性目的の人身売買の被害に遭った。その間の職務経歴は空白だ。
「私はここで、キッチン監督者としてリーダーの役割を果たしている。これまでにリーダーシップの職務をこなしたことは一度もない」
テリーは、人身売買の被害者に支援や職業訓練、雇用機会を提供する非営利団体、フリーダム・ア・ラ・カート(Freedom a la Cart)で、2年間の訓練プログラムを受けている。同事業はフードカート(移動販売車)から始まり、現在は人気のケータリング事業を通してプログラムの資金を集めている。来年にはコロンバス中心部に朝食とランチのカフェをオープンさせ、事業を拡大する予定だ。
フリーダム・ア・ラ・カートのポーラ・ヘインズ常任理事によると、同団体は昨年、人身売買の被害者女性210人に対し、支援サービスを提供した。サービスには、コミュニティの女性と参加者を結びつけるメンタープログラムや、被害者らが集まって自身の経験について議論できる安全な場を提供する支援などがある。2017年には、33人の女性が職業訓練プログラムに参加した。
コロンバス地域で人身売買・売春・性的搾取の被害者に社会復帰の道を提供する、フランクリン郡地方裁判所のCATCHプログラムによると、フランクリン郡だけでも毎年約1200人の女性が売春勧誘の罪で逮捕されている。そのうち92%以上は、若いときに初めて性目的の人身売買に遭った被害者と特定されている。
CATCHのプログラムでは、被告が有罪を認めれば2年間の保護観察期間が認められる。この間、女性は居住型プログラムや薬物検査、カウンセリングなどの治療計画に従うことが求められる。フリーダム・ア・ラ・カートはCATCHと協力し、こうした女性の一部に支援サービスと職業開発訓練を提供している。
ヘインズは「私たちにとって最も大事なのは、女性をエンパワーすること」と語る。
「人身売買の犠牲となった女性たちは、取引的な関係に慣れているため、私たちとの関係は絶対にそうならないようにしたい。私たちはこうした被害者のニーズを満たす一方で、今後は被害者たちが自ら自分のニーズを満たせるよう支援をすることを望んでいる」