生物学者たちの研究によると、人類が哺乳類の保護に力を入れない限り、今後50年で大量の哺乳類が絶滅し、現在のレベルまで回復するには300〜500万年もかかるという。
過去4億5000万年で5回の大量絶滅が起きたことが、地質学者によって確認されている。最も最近では6600万年前の白亜紀末に起きている。この時に絶滅したのが飛べない恐竜だった。
しかし、現在の地球が直面している大量絶滅の危機は、一過性の出来事が原因ではない。人間の行動や決断の結果として引き起こされているものであり、終わりがないのだ。
種が絶滅し、別の種が進化することでその穴が埋められることは自然の摂理だ。しかし、今のペースで哺乳類が絶滅していくと、進化が追いつかない。
さらに、すべての哺乳類において、種としての重要性が等しいわけではない。例えば数種類しかいなかったサーベルタイガーはすべてが絶滅し、哺乳類の系統樹の中の1つの系統が根こそぎ消えた。進化の観点から見て特異な系統が消えることは、数百万年にも及ぶ進化の歴史が途絶えることを意味し、地球のエコシステムの中で果たしていた役割の担い手がいなくなることを意味する。
これに対し、トガリネズミにはより多くの亜科があるため、数種類が絶滅しても系統が根こそぎなくなるわけではない。このような背景から、保護することの重要度が高いのは、少ない種で構成されている生物だと研究チームは結論づけた。
氷河期には大型哺乳類が広く生息していたが、人間がより大きな哺乳類を好んで殺していたため、多くの大型哺乳類が絶滅することになったという。この流れは今後も続くと研究チームは見ている。
最終的には小型の哺乳類のみが残ることになる。絶滅の危機がなくなったら、哺乳類の多様性が復活し大型の哺乳類も現れるかもしれない。
重要なのは、人類が今後の数十年や数百年の間に、どのような行動をとるかだ。6回目の大量絶滅の危機には終わりがなく、人類の選択に運命がかかっているのだ。