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2018.11.03 08:00

アマゾンの驚異的成長を支える「デイ・ワン」という経営哲学

Photo by Alex Wong/Getty Images

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フォーブスが今年10月に発表した米国で最も裕福な400人をランク付けする「フォーブス400」で、首位に立ったのはアマゾンCEOのジェフ・ベゾスだった。ベゾスの資産額は1600億ドル(約18兆円)に達し、1994年以来24年連続で首位だったビル・ゲイツを追い抜き、史上初めて1位に立った。

背景にはここ約1年のアマゾンの株価の上昇がある。アマゾンの売上は2018年の上半期に1000億ドル以上を記録し、前年同期比で41%の増加となった。

フォーブス400にベゾスが初めて登場したのは、アマゾンが上場を果たしてから1年後の1988年のことで、資産額16億ドルで102位だった。その後、2015年にベゾスは初めて10位圏内に入り、資産470億ドルで4番目にリッチな米国人になった。

アマゾンの成長の根本には、ベゾスがモットーとする「Day One(デイ・ワン)」の精神がある。これは「常にビジネスを始めた、最初の日のつもりで事業を行う」という彼の経営哲学であり、ベゾスは1997年のアマゾン上場以来、毎年の株主向け年次書簡に必ず、上場1年目の書簡のコピーを添えている。

1997年当時、アマゾンの顧客数は150万人だったが、今では世界1億人のアマゾンプライム会員を抱え、従業員数は56万人に達している。

ベゾスは1995年4月3日に、書籍のEコマース販売サイト「アマゾンドットコム」をシアトル郊外のガレージで立ち上げた。その後、1998年にはCDの販売も開始。1999年から商品の多角化を進め、2003年頃には700種類に及ぶチーズやテニスラケット、電動スクーターまで販売する総合Eコマースサイトに成長した。

2005年には年会費79ドルのアマゾンプライムを立ち上げ、翌2006年にはアマゾンウェブサービス(AWS)を始動。企業向けのデータストレージ事業に進出した。今ではシリコンバレーのスタートアップ企業に必須のサービスとなったAWSは、2018年の上半期に30億ドル以上の営業利益を生み出すまでに成長した。この金額はアマゾンの北米での営業利益をわずかに上回っている。

アマゾンが2007年11月に発売したデジタル書籍リーダーの「キンドル」は5時間半で売り切れになり、その後の数ヶ月間在庫切れが続いた。その4年後には、10万タイトルの映画やテレビ番組などが楽しめる、キンドル・ファイアを発売した。

新分野「処方薬の宅配」にも進出

潤沢なキャッシュフローを活かし、アマゾンは戦略的な企業買収も行ってきた。2008年1月にはオーディオブック企業の「オーディブル」を3億ドルで買収。その1年半後にはアパレル関連の通販サイト「ザッポス」を、10億ドルをわずかに下回る株式で買収した。

そして2017年にアマゾンは同社史上最大額となる136億ドルの現金で、食品スーパーの「ホールフーズ」を傘下に収めた

2018年7月に、アマゾンは新分野の企業買収を行った。10億ドルを投じて買収した、処方せん薬を飲みやすいようにパックして宅配するサービスの「PillPack」だ。書籍から始まったアマゾンは、今や薬品の宅配まで手を広げようとしている。

「市場の規模は今後も無限に広がっていくだろう」とベゾスは今年8月のフォーブスの取材に応えた。彼にとってアマゾンは今も、デイ・ワンのままなのだ。

編集=上田裕資

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