キャリア・教育

2018.10.21 08:00

企業をむしばむ、職場の注意散漫問題 リーダーがすべきこととは


あらゆる種類の顧客対応業務を考えてみよう。従業員が、携帯電話やノートパソコン、タブレットで受信するあらゆるメッセージや通知に答えてしまえば、その企業の顧客対応能力についてはどのような印象を持たれるだろうか?

従業員が、荷物を出すなどの業務に注意を向け続けることができない場合、この従業員の生産性は全体として一体どれほどなのかという疑問が湧く。従業員が、メッセージやメール、上司からの要請や最新のインスタグラムの投稿についた「いいね」などを確認することで出る少量のドーパミンのせいで集中できないようであれば、この従業員について私が心配になるのは、業務量や生産性だけではない。それはこの企業の評判だ。

それでは、私たちはどうすればよいのか? いくつか簡単な解決法がある。

まずはじめに、会社の学習・人材開発部署を関与させ、注意散漫に対する訓練に特化したプログラムを作成すること。私が思うに、多くの従業員は自分がどれほど注意散漫になっているかについて気づいてさえいない。この訓練では、集中した従業員とそうでない従業員の違いを扱うべきだ。ノートパソコンや携帯電話の通知を全てシャットダウンすることで集中でき、プラス効果があることを詳しく説明しよう。こうした部署が会社内に存在しない場合、業務委託や、外部のトレーニング提供企業を見つければよい。

2つ目に、会社がすでにオープンオフィス環境に移行している場合、従業員が働くためのプライベートで静かな空間を用意しよう。私が働いているカナダの国営通信企業テルス(TELUS)では、気が散ることなく仕事に集中したり、電話をしたりできるよう、予約制の「電話室」を設けている。

また、ノートパソコンを持ち込んで、考えたり書いたり、電話で話したりしながらランニングマシンを使うことのできる「ウォーキング室」も導入した。どちらの例も、注意をそらすものや騒音がない選択肢だ。

最後に、チーム規則の導入を考えよう。チームメンバーと協力しつつ、どのように交流し協働するかについての規則・指針を確立する。それは、金曜日には会議をしないルールかもしれない。あるいは、チーム全員が毎週3時間は思考したり、夢について思いをはせたりすることかもしれない。また、チーム全員が1週間に1、2回、在宅勤務できるようにするのはどうだろう? どのようなケースでも、「チーム規則」という名の下でチームと開放的な議論を行うことで、注意散漫という問題を取り除くことができるかもしれない。

注意散漫の問題は急速に、会社をダメにする究極の要因となりつつある。この問題が広がり、これ以上のダメージを出さないようにする方法を見つけるのはリーダーの役割だ。

翻訳・編集=出田静

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