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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

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10年以上にわたり利用者が減少していたビットトレントだが、ここにきてその人気が再び上昇している。観測筋の多くはその背景として、ストリーミングサービスの数が増えていることを指摘している。

ネットフリックス、HBO、アマゾン、Huluなどのストリーミングサービスに登録する代わりに、「Transmission」や「μTorrent」、「Vuze」といったビットトレントソフトを利用してコンテンツを検索・ダウンロードする人が増え続けている。まるで2004年に逆戻りしたようだ。

これは驚くべきことではない。違法ダウンロード削減に最も効果があるのは、リーズナブルな価格でのコンテンツ提供だということが、既に判明している。人々に多数のサービスの有料会員登録をさせようとすれば、どんなコンテンツにもアクセスできるビットトレントの人気が再び高まることは必至だ。

つまり、人々が会員登録するサービスの数には限界があり、違法ダウンロードの防止はとても難しいのだ。HBOやネットフリックスが製作した番組は、従来型テレビ局の番組よりも質が高いものが多く、エミー賞の常連となっているのは事実だが、人々が有料会員サービスに使える金額は限られている。

音楽業界は、幅広い楽曲を提供するスポティファイやアップルミュージックといった配信サービスのおかげで、この状況を避けられている。一方で映画・テレビ各社は依然として自社の過去作品や新コンテンツを囲い込み、競合他社との差別化を図ろうとしている。ソーシャルメディアで話題の大ヒット番組には大きな魅力があるが、その他の作品すべてを含めた視聴料として月額会員費を払う動機として十分とは必ずしも言えない。

ネットフリックスは、この問題を相対的にとらえている。同社は、水道水を際限なく利用できるにもかかわらずボトル入り飲料水が売れることを引き合いに出し、違法ダウンロードについて常に現実的な方針をとってきた。マーケットリーダーである同社は、世界全体のダウンロードトラフィックの約15%を占め、190カ国に1億3000万人以上の会員を抱えており、顧客の忠誠度は揺るぎなく、解約率はとても低い。

一方、ネットフリックスと違って、膨大なユーザーデータの活用による競争力に欠ける競合他社は、より大きな課題に直面している。こうした企業にとっての課題は結局のところ、多くのマーケットで衰退化しているサービスを特定の消費者層に利用させようとしていることにあるのだ。人々が好きな番組を観るためにP2Pサイトを利用し始めたとしても、それは映画・テレビ業界の自業自得でしかない。

編集=遠藤宗生

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