閉じる

PICK UP

勝間和代

女性としてフェンシング日本代表になった過去をもち、今年15万人を動員した日本最大のLGBTプライドパレードを運営するNPO法人 東京レインボープライドの共同代表理事を務める杉山文野。

自身もトランスジェンダーである杉山が「いま、なぜダイバーシティが必要なのか?」をテーマに、第一線で活躍する人々と実体験を語りあう、対談連載。

初回のゲストは、マッキンゼーやモルガン・スタンレーで活躍し、仕事術などの著者として「カツマー」と呼ばれる熱狂的なファンを生み出してきた勝間和代。5月に現在進行形で増原裕子とパートナー関係を続けていることをカミングアウトした。

ストイックなエリートという印象が強かった彼女の告白から4カ月。世間からの反応は。そして彼女の心境は。

打ち明けても、意外とネガティブな反応は少なかった

杉山:僕はFemale to Male(女性から男性)のトランスジェンダーです。最近はLGBTへの理解はずいぶん進みましたが、この活動をしているとまだまだわかってくれない層もたくさんいることがわかりました。そういう人たちにLGBTの存在を身近に感じてもらい、「なぜいまダイバーシティが必要なのか」を考えてもらうきっかになれば嬉しいです。

勝間さんがLGBTをカミングアウトされてから3カ月が経ちましたが、変化はありましたか。

勝間:意外と、何もなかったんですよ。ネガティブな反応が心配でしたが、いままで受けていた仕事がなくなることもなかったし、友人が減ることもなかった。LGBT関連の取材は、少しだけ増えましたが。

一番変わったのは、裕子さんと一緒に堂々と外を歩けるようになったことですね(笑)。

杉山:個人的な感想ですが、勝間さんは外資系エリート出身でテーマも「生産性」なので、なんとなくストイックで恐い人だと思っていました。けれど、今回の発表で一気に親しみやすさを覚えたというか。ネットでも同じような意見はちらほらあがっていました。

勝間:ありがとうございます(笑)。そうした狙いはなかったのですが、これまであまり見せなかった弱みをさらけだしたのが、よかったのかもしれないですね。事前に相手の弱みやプライベートな側面を知っていると心的安心がもたらされ、打ち解けやすくなりますから。

杉山:ビジネスとの関連についても教えてください。勝間さんは普段の仕事では、生産性向上に取り組んでいます。LGBTが受け入れられると、生産性にも変化があるのでしょうか。

例えば僕はカミングアウトしてから初めて気づいたのですが、性別を隠している頃はどれだけ素直に楽しんでいるつもりでも、3分の2くらいのエネルギーは性別のことを考えることに気を取られていました。

勝間:私も、2割くらいは消耗していたんじゃないかな。多くのLGBT当事者が、自身のアイデンティティを隠すつらさにコストを割いています。LGBTに関する知識がない人からの偏見によって受ける精神的な負担をなくして、今まで隠すことや辛かったことに回していたエネルギーを、もっと別のところに使っていけたらいいですよね。

杉山:勝間さんの2割って、かなりの損失じゃないですか。

「意識的に差別する人なんて、ほとんどいない」

杉山:カミングアウトによって取り戻したエネルギーで、これからやりたいことはありますか。

勝間:マイノリティの生きづらさをつくっている「無意識の差別」をなくしたい。差別をしようと思ってしている人なんて、滅多にいません。

無意識下にもっている偏見が、差別を引き起こすんです。1人でも多くの人がそれに気付くことが、差別根絶には大切なのではないでしょうか。

杉山:意識がある部分へのアプローチはできても、無意識に訴えかけるのは難しいですよね。

勝間:無意識の差別は、相手への印象でできています。だから、LGBT当事者がカミングアウトするのが一番なのではないでしょうか。

私がカムアウトしたときも、私のことを元から知っている友人からの印象が悪くなることはなかったんです。「勝間和代」という昔から知っている人物の属性のひとつに「LGBT」が加わるだけなので、あまり影響がない。

ところが、初対面の人は、第一印象から私のことを「LGBTの人」として見ることになる。バラエティなどで誇張されたLGBTのイメージに引っ張られてしまうんです。

文=野口直希 写真=小田駿一

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい