Swell Conferenceは決済分野の専門家らが集まり、世界のイノベーションの進展や当局の規制の在り方を話し合うカンファレンスだ。キーノートに登壇したクリントンは彼が米国大統領を務めた時代に、インターネットが勃興したことにふれた。
クリントンは新たなイノベーションに対する規制は、慎重な姿勢が要求されるものであると語った。「古びた法律を新しいテクノロジーにそのまま適用することはできない。それは、金の卵を生む鳥を殺してしまうことにつながる」と彼は続けた。
米国政府の仮想通貨に関わる法規制は、依然として先行きが不透明な状態であり、それはカンファレンスを主催したリップルにとっても頭痛のタネだ。
リップルはこれまで伝統的な金融機関に歩み寄るスタンスをみせ、銀行や決済プロバイダー向けに専用プロダクトのxCurrentやxRapidを提供してきた。米国のSEC(証券取引委員会)はリップルのトークンのXRPをセキュリティトークン(有価証券)に区分すべきであると主張し、証券としての規制を強く求めている。
SECはまた、米国のSEC(証券取引委員会)は、仮想通貨のICOに関する明確なルールを定めておらず、仮想通貨コミュニティの不満は高まっている。期待されるビットコインのETF(上場投資信託)の実現も、いつになるか不透明なままだ。
仮想通貨関連の法整備の遅れは今後、過剰な規制の網がこの分野にかけられる恐怖をもたらしている。大統領時代のビル・クリントンはインターネット関連の法規制を適度に緩やかなものにし、それが後のテクノロジーの発展につながった。だからこそ、今回の彼の発言は重要なものとして受け止められる。
ブロックチェーンや仮想通貨の専門家の間からは、厳しすぎる規制によってこの分野のイノベーションを行う人々が米国を離れ、アジア諸国に避難することを危惧する声もあがっている
「SECが過度な規制に乗り出す前のアメリカの仮想通貨分野のイノベーションは、世界の最先端を走っていた。また、仮想通貨の取り引きボリュームも巨大なものだった」とLunar Digital AssetsのCEOのHan Yoonは述べた。
「法整備の遅れを理由に数百ものスタートアップ企業が今や、ケイマン諸島やマルタ、エストニアといった諸国に逃げ出している」と彼は続けた。
米国の仮想通貨分野のイノベーションが勢いを取り戻すためには、適度に緩和された明確なルールが必要だ。クリントンの今回の発言は多くの業界関係者から共感を得るものとなった。