米カリフォルニア州サンタモニカに本社を構える「コーナーストーンオンデマンド」は、192の国・地域、44の言語で事業を展開する人材育成・管理サービスの世界的大手だ。
企業などの従業員がさまざまな研修をPCやモバイル機器でいつでもどこでも受けられる環境や、その進み具合と成果をマネジメント側が迅速かつ正確に把握できる環境を、クラウドやAIといったテクノロジーで実現。クライアントは各地の企業から金融機関、官公庁、教育機関まで幅広く、日本にも日立製作所やアサヒグループホールディングス、キヤノンなどがある。
そのコーナーストーンで最高技術責任者(CTO)を務めるマーク・ゴールディンが7月に来日。ラーニング(学習・研修)とタレント(人材能力)マネジメントの持つ意味、そうした高度なサービスの提供を可能にしたテクノロジーについて語った。
「経済はスキルエコノミーへと急速に切り替わりつつあります。このスキルとは、大学の学位などとは違う、もっと専門的で、常に最新であることを求められる技能・知識。必要とされるスキルがどんどん新しくなっていく中、新しいスキルを身につければ、新たな価値ある仕事ができるようになります。企業の価値は、このようなスキルのある人材がどれほどいるかで測られるようになるのです。
たとえば、カリフォルニア州で組織のマネジャークラスにセクシャルハラスメント研修が、金融機関の従業員にマネーロンダリング研修が義務づけられているように、スキルは次々と増え、更新されます。
またAIをはじめとするテクノロジーの進化で、それらのデータの考察や使い方ができるスキルも今後必要性が増えていくでしょう。採用直後の従業員にせよマネジメント層にせよ、必要とされるスキルと自分のスキルにギャップが出てきたら迅速なアップデートが欠かせません」
となると雇用者側には、人材の持つスキルを把握し、足りないスキルを身につけさせることがこれまで以上に重要になる。日本の企業も例外ではない。
「さまざまな調査の結果、従業員の企業に対するエンゲージメント(帰属意識)と企業の収益性には相関関係が見られますが、日本ではこのエンゲージメントが他国に比べて非常に低い。終身雇用の変化は日本のクライアントも強く意識しており、私たちの提案に興味を示してくれます。人は今の勤務先で新しいスキルを身につけられるなら転職を思いとどまりがちだという調査結果も各国で出ていますからね」