ビジネス

2018.10.15 10:00

スキルアップも働き方改革もすべてテクノロジーが叶えてくれる


ホワイトカラーも「カイゼン」できるか
 
そもそも日本には労働人口の減少、ワークライフバランスの歪み、ホワイトカラーの生産性の低さなど、政府が働き方改革を唱える以前から経済・社会の足かせが少なくなかった。だからこそ日本はコーナーストーンにとって重要な市場だと、ゴールディンは見ている。

「複数のアナリストが、日本の人材管理市場には今後10年、大きなチャンスがあると見ています。世界で進んでいるイノベーションに日本がキャッチアップするには、この分野の改革が欠かせないからです。ただ、私自身は日本が他の国々から10年も遅れているとは考えていません。せいぜい3年というところでしょうか。クライアント企業もどこも本気で対応している。変化は速いですよ」
 
速さは日本企業などのクライアントのみならず、コーナーストーンにとっても重要な要素だ。テクノロジー開発で重視している分野には、ビッグデータや機械学習などのAI、法人向けであるサービスをユーザーとなる従業員個人にとってわかりやすく・使いやすく・美しいものに仕立てるコンシューマライゼーション、eラーニングをいつでもどこでも利用可能にするためのモバイル対応などがある。

そして、もうひとつ重視しているのがアジャイル(迅速)だ。「プロダクトの更新も、1年に1回、大規模なものを行うようなビッグバン型ではなく、小規模なアップデートを頻繁に行う形にしています。この方がニーズに素早く対応できるし、クライアントからのフィードバックも速く、的確になる。CTOとしての私の最大のミッションは開発を加速させることなんです」
 
こうしたスピード感あふれるテクノロジー開発は、ゴールディンも認めるとおり、いかにも「アメリカ西海岸スタイル」だ。とはいえ、開発の迅速化や効率化には実のところ、日本スタイルも大いに反映されているという。

「カイゼンやリーン生産、チームワークの大切さといったトヨタ式の改良継続哲学はとても重要なコンセプト。多くの解説書が読まれていて、西海岸のテクノロジー産業も非常に強く影響を受けています」
 
これは日本にとって名誉なことながら、元はと言えば製造現場で根を詰める話。現在日本が抱える課題であるホワイトカラーの生産性、そしてワークライフバランスについては、次のような働き方、働かせ方をチラリと聞かされると、やはり10年、あるいはそれ以上の差が感じられてしまうのだけれど──。

「コーナーストーン北米の事業所では、アンリミテッドバケーションの制度があります。つまり有給休暇に制限がありません。人材が生み出す価値を尊重し、必要な人にいてもらうための仕組みです」


マーク・ゴールディン◎米コーナーストーンオンデマンド最高技術責任者。アプリケーションの開発、品質保証および技術業務を統括する。これまでに数多くの企業のグローバルなテクノロジー戦略を構築してきた。

文=岡田浩之 写真=小田駿一

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